後悔のない事業承継を、専門家と二人三脚で。

「自分はまだまだ現役だから大丈夫」「後継者はそのうちゆっくり探すつもりだ」

このような考えをお持ちの経営者は、けっして少なくありません。しかし、万が一病気や事故で身体を壊してしまったら、すぐに事業承継を行わなければ廃業を余儀なくされてしまう恐れがあります。

それでは、従業員たちにも迷惑をかけてしまうことになりますよね。そんなことにならないためにも、事業承継は事前に計画をしておく必要があります。

本記事では、事業承継対策のポイントや、相談するべき専門家についてご紹介していきますので、少しでも事業承継に不安や懸念を抱えている方は、ぜひご一読ください!

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事業承継対策が必要な企業とは?

・後継者問題に悩んでいる会社
・現経営者に全て頼っている会社
・相続人が2人以上いる会社

事業承継には上記のような問題点がしばしば発生します。これから、事業承継対策が必要になってくる企業の特徴について具体的にみていきましょう。

後継者問題に悩んでいる

後継者問題とは、後継者不在のために事業承継を実行することができない状態のことで、会社にとっては死活問題となります。

一般的には、社内の従業員や、経営者の親族に事業を引き継ぐ親族内承継が多くの企業で行われていましたが、最近では親族に後継者として相応しい人がいない状態の中小企業が増加しています。

会社が廃業することはコストがかかる上に従業員への影響も大きいので、それを避けるためには後継者を探したり育成したりする対策を早めに取るようにすることが重要です。

現・経営者に頼り切っている

中小企業の経営は、経営者のリーダーシップに依存してしまい、事業方針の決定や取引先との関係を構築することも経営者が行うことが多いため、会社の従業員が積極的に自主的に意見を述べられないケースがあるようです。

経営者が現役で健康面でも問題がない状態であれば問題ありませんが、経営者が高齢の域になると早急に後継者を決定して事業を引き継ぎしなければなりません。

従って、経営者は自らが率先して、事業承継対策を行うように策を考えるようにしましょう。

相続人が2人以上いる会社

事業承継に伴う会社の資産や経営権は、相続人が一人の場合は簡単に引き継ぎができますが、相続人が二人以上いる場合については、平等に引き継がなければなりません。

現金については公平に分配できますが、不動産屋株式など資産については、価値を評価することが難しいので複数の相続人に公平な分配ができない場合もあります。

特に、株式は「株式のまま分配」してしまうと、株式が分散されるので経営権を集中することができなくなる問題がでてきます。

従って、全相続人の同意が得られるように、事業承継対策を進行する必要があります。

事業承継対策のポイント5選

・計画的に準備しておく
・後継者の育成を実行
・後継者の将来を考えて環境を整えておく
・自社株式の株数対策
・株価対策も同時に実行

事業承継対策のポイントとして、主に上記の5つが挙げられます。

1. 計画的に準備しておく

事業承継対策のポイントは、事業承継計画書を作成した上で計画的に準備をすすめていくことです。

具体的な事業承継の計画を資料にしておけば、比較的スムーズに事業承継を実行することができるようになります。

様式がすでに整っている中小企業庁が作成したひな形を利用するのがおすすめです。

本業で忙しくて計画書の作成に充てる時間がないという場合は、事業承継に関する知識がある専門家に依頼するとよいでしょう。

2. 後継者の育成を実行

社内の従業員や親族を会社の後継者として選ぶ場合、後継者の育成も必要です。

将来的に会社経営を担うための知識やスキルの習得や、取引先との人脈構築を成功させるためには、ある程度の時間がかかると思います。

経営者の側で経験を積ませたり、経営者セミナーに参加させたりなどの場を積極的に設けるようにしましょう。

3. 後継者の将来を考えて環境を整えておく

はじめての経営、資金繰り、社員との関係、人付き合いなど……事業承継後は、様々な面で後継者には大きな負担がかかると思われます。

後継者が少しでも安心して事業を展開することができる環境を整えるように計らうことが肝要です。

4. 自社株式の株数対策

自社株式の株数対策とは、会社の経営権に影響が出ることがないように、自社株を好意的な株主や従業員持株会に移転する対策のことです。

後継者の持分比率を下げれば納税負担を抑えることもできます。

5. 株価対策も同時に実行

親族内承継で相続またば贈与を行う場合は、株式の評価額で課税されることになりますが、中小企業の株式は流動性が低いので換金が難しく、納税のための資金が不足するケースもしばしばみられます。

そのため、自社株の評価額を人為的に引き下げ、納税の負担を抑止する対策も必要です。

過度な対策は不当とみなされて税務署から否認されるケースもありますが、適当な株価対策は有効活用することができます。

最も知られている節税対策は「役員の退職金による損金計上」です。退職金は「退職所得」として税制上優遇措置が行われますので、ぜひ活用してみましょう。

事業承継に詳しい専門家

事業継承に詳しいプロフェッショナルを、5人紹介します。困ったときはすぐに相談してみてください。

事業承継アドバイザー

事業承継アドバイザーは、銀行の現役幹部がよく保有している資格として知られています。

会計士や税理士にも通ずる専門知識を多く求められるため、この資格は非常に信頼性があるといえるでしょう。

事業承継アドバイザーは、金融機関に在籍していますので、融資を依頼するついでに事業承継について相談してみるのがおすすめです。

事業承継プランナー

事業承継プランナーは、「事業承継センター」が運営している民間資格です。事業承継プランナーを一言で表すなら、「事業承継の相談窓口」。

はじめて事業承継を経験する経営者が抱える様々な不安や悩みを親身に伺い、次にどのようなアクションをとっていくべきなのかといったアドバイスを教えてくれます。

「まずは事業承継について色々と知りたい」という方にはぴったりの専門家です。

M&Aアドバイザリー/仲介会社

事業承継ではなく、M&Aを選択することもあるでしょう。

「M&Aのノウハウがないから不安」という方は、M&Aの実務に特化している専門家「M&Aアドバイザリー」に相談してみてください。

コンサルティング料は発生しますが、後悔のない事業売却を実現するためには欠かせないパートナーとなってくれるはずです。

司法書士

“書類のプロフェッショナル”といえば、やはり司法書士。

成年後見、相続、贈与、不動産登記、移転登記など……事業承継では、様々な場面で書類を作成する必要に迫られます。

書類に不備があれば、申請が通らなかったり、契約が不履行になったりしてしまいますので、作成には細心の注意が必要です。

「本業で忙しくて書類作成に時間を割いていられない」というのであれば、事業承継関連の書類を得意とする司法書士におまかせください。

税理士

経営者のもっとも身近な相談相手といえば、多くの方が「税理士」と答えるのではないでしょうか。

税理士は、財務はもちろんのこと、事業承継に関する諸問題を扱うことに長けています。

「後継者が安心して事業運営できるように環境を整理したい」という方は、税理士に相談して経営の“見える化”などを積極的に推し進めていきましょう。

弁護士

事業承継やM&Aでは、利害の対立をめぐり、しばしば係争事件に発展することも珍しくありません。遺恨なく円滑に話を進めたいのなら、法律の専門化である弁護士に相談してみるとよいでしょう。

近年では、事業承継やM&Aに特化した弁護士も国内に数多く存在するため、比較的苦労なく相談相手を見つけることができると思います。

まとめ

後継者不足、後継者の育成、承継後の経営方針、新しい社長と従業員の関係、取引先との信頼関係、相続税や贈与税対策など……事業承継には、数えきれないほどの“不安”や“懸念”材料があります。

事業承継の憂いを出来る限り取り除くためには、経営者に寄り添う専門家に相談し、計画的に事業承継の準備を進めていくことが大切です。

「事業承継のことを意識し始めているが、何から手を付けていいのかわからない」「そもそも後継者がいないから諦めている……」という方は、まずはお気軽に事業承継のプロを頼ってみてください。きっといいアイデアや活路が見えてくるはずです。

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