中小企業における事業承継の統計をご紹介!

日本は年々、少子高齢化が深刻化しており、特に中小企業では事業を引き継ぐことができる若い人材が見つからないという課題が深刻化しています。

事業承継が出来ずに「廃業」を余儀なくされる中小企業も少なくありません。

現在では、政府が主導で事業承継を推進しているということもあり、M&Aが活発になってきているといわれています。

そこで本記事では、近年の事業承継事情をテーマに、統計からみる中小企業の動向を取り上げていきます。

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統計によると近年はM&Aが活発

日本商工会議所が2020年に発表した統計によれば、中小企業における事業承継では、M&Aが活発とのことです。

・統計① バランスシートの変化
・統計② M&Aの実施や検討状況

さて、これらの統計要素からみえてくるものは、一体何なのでしょうか。

統計① バランスシートの変化

2014~2019年の間で、中小企業のバランスシートにおける「事業投資」は、なんと約38兆円にまで増大していることが統計で明らかになりました。

さらに細かくバランスシートをみてみると、関係会社株式などの投資有価証券が大幅に伸びていますので、M&Aや資本提携などが積極的に行われているという背景を統計から伺い知ることが出来ます。

統計② M&Aの実施や検討状況

統計によると、中小企業が事業の「買い手」としてM&A契約を結んだのは全体の約1%程度なのですが、「M&Aを検討したことがある」のは15%にのぼるといわれています。

これだけの統計では、事業承継が活発であることはわかりにくいですが、10億以上の売上を持つ会社の約40%が、事業を買い取っているという統計データが存在します。

事業承継支援の利用率

現在では、政府機関や民間が提供する様々な事業承継支援が充実しています。

・統計的事実① M&A運営会社の数は年々増えてる
・統計的事実② 事業引継ぎ支援センターへの相談は急増

統計によれば、上記の2点が明らかになっています。

統計的事実① M&A仲介業者の増加

日本商工会議所が発表している統計によれば、政府主導の事業承継マッチングサービスや、民間運営のM&A仲介業者が確実に増えてきているという事実が明らかになっています。

その背景には、後継者不足による親族内承継の減少が考えられます。以前は、経営者の血縁関係である子どもや親族を後継者に指定するのが主流でした。

しかし現在では、少子化や働き方の自由化により、そう簡単に親族内承継を実現出来なくなったといわれています。

そこで、後継者不足を解消する方法として注目され始めたのが、中小企業によるM&Aだったというわけです。

統計的事実② 事業引継ぎ支援センターへの相談が急増

日本商工会議所の統計によれば、国が運営する「事業引継ぎ支援センター」の利用率が上昇しているとのことです。

2017年以降、相談数と事業承継成功例が急増しており、2019年時点では相談が1万件以上、実際に承継に成功した件数が1千件以上となっています。

中小企業庁の統計では、国内に占める中小企業はなんと99%以上。今後はますます事業承継のために相談してくる経営者の数が増えていくことでしょう。

統計からみるM&A市場の現状

日本商工会議所の統計から、今日の国内におけるM&A市場をみていきましょう。

・統計的事実① 中小企業が約7割
・統計的事実② 競合他社の買取が約4割

統計的事実① M&Aの活用事例の70%が中小企業

「M&Aは大企業レベルの世界の話」「自分たちの会社には関係がない」と思い込んでいる方もいらっしゃることでしょう。しかし統計が示す事実は、非常に興味深いものとなっています。

驚くべきことに、M&Aを実際に活用して事業承継を行っている企業の約70%が中小企業だという事実が統計で明らかになっています。

統計的事実② 競合他社の買取が約4割

M&Aでは、どのような企業が事業の買い手となるのでしょうか。統計によれば、売り手の40%は同業種すなわち競合他社だということがわかっています。

もちろんM&Aは、世界標準でみると、いわゆる「多角経営」を目的に事業を買い取るケースが一般的です。「本業は飲食店経営だが、冠婚葬祭事業にも乗り出していきたい」というのがまさにその典型ですね。

一方、中小企業が事業承継で同業種の事業を買い取るメリットは、相手の保有する経営資源を手に入れることで、より生産力を強化するという点が挙げられます。

まとめ

統計によれば、近年の後継者不足問題を背景に、M&Aを活用して事業承継を実現する中小企業が増加していることが明らかになっています。

M&Aと聞けば、大企業同士のスケールの大きい世界の話をイメージしがちですが、統計が示唆するのは「中小企業のM&Aがこれからの主流になっていく」ということなのかもしれません。

後継者がいないことを理由に廃業を考えている方や、事業を譲りたい理想の相手の条件がハッキリしている方は、全国の経営者と出会うチャンスに恵まれているM&Aを活用してみる価値が十分にあるといえます。

まずは一度、政府が運営する事業引継ぎ支援センターや、民間のM&A仲介業者に相談してみましょう。
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