事業承継の後継者とは?
中小企業の経営者にとって、いずれ決断をしなければならないのが「事業承継」です。
以前は、後継者と言えば親族から選ぶことが多かったのですが、最近は経営者の息子や娘の世代は親の事業を継ぐのではなく、自由に働く環境を求めるようになりました。
また、めまぐるしく変化する今の経済環境で会社が生き残るためには、外部から新しい才能を取り入れる必要性も増しています。
外部から後継者を募集する際、どのような能力やスキルを求めればいいのか、また、メリットやデメリットなど、後継者募集について解説します。
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目次
後継者に必要な能力や素質とは?
以下のような能力や素質が後継者には必要となります。
- 会社の特徴を理解していること
- 経営者が求める人間性を兼ね備えていること
これまで大切に育ててきた会社を承継するわけですから、経営者が納得する人材を慎重に選びましょう。
会社の特徴を理解していること
事業承継の後継者になるには、会社の特徴をよく理解している人物が好ましいです。
親族から後継者を選ぶ場合には、会社に入社させた後、あらゆる部署に異動させて会社のことを理解するプロセスがとても大切です。
営業・製造・総務・人事と2~3年のペースで各部署を周れば、業務を覚えるだけでなく様々な社員に顔を覚えてもらえるでしょう。
後継者が社員と一緒に汗を流し、会社のことを十分に理解すれば、親族を後継者にしても社員から反発が生まれにくくなります。
事業承継の後継者を募集する場合は、長期間一緒に仕事をする時間はないため、会社の特徴や個性に絞って早期に理解してもらう必要があります。
そのためには、短期間であっても現場の業務に触れてもらい、社員との交流の場を作るようするのがおすすめです。
経営者が求める人間性を兼ね備えていること
仕事ができて優秀な人材であっても、経営者が求めている人間性を兼ね備えていなければ、後継者には向いていないでしょう。
会社のトップになるわけですから、マネジメントやリーダーシップ能力があることはもちろんのこと、お客様と社員に愛される人間性を持つ人物が好ましいです。
長く付き合っていれば人間性も見えてくるのですが、短期的に後継者の人となりを判断するのは、経営者のインスピレーションがとても重要です。
後継者選びの際には、求めている後継者の人間性を事前に書き出しておくと、判断の基準にもなります。
後継者を選ぶ際の注意点とは?
事業承継の後継者を募集で選ぶ際には、以下のような点に注意しましょう。
- 後継者選びに時間がかかる
- 費用が発生する
- 資産を事前に確認しておく
後継者選びに時間がかかる
会社経営を任せるわけですから、後継者選びは慎重に行う必要があります。
経営者が「この人なら」と思える人材に出会うためには、時間がかかる場合があるので、できるだけ早い段階から後継者選びを開始しましょう。
たとえば、後継者として選んだ人材を教育していく中で、後継者にふさわしくないと決断しなくてはならない場合もあります。
後継者選びを焦らないよう、時間に余裕を持った事業承継のスケジュールを立てることが重要です。
費用が発生する
事業承継の後継者を探す時は、広告出展料や成果報酬で費用が発生しますので、事業承継のコストとして事前に予算化しておくのがおすすめです。
通常の社員募集とは違い、事業承継の後継者は必ず選ぶ必要があるので、ある程度は長引くことも想定した上でコスト計算をしておきましょう。
資産を事前に確認しておく
オーナー企業の事象承継では、自社の株式を購入してもらう流れになるため、購入するだけの資産を保持しているのかも後継者選びには重要です。
必ずしも今ある蓄えだけで購入しなければならないわけではありませんが、ある程度の資産を保持している方が会社運営は安定するでしょう。
もちろん、多額の借り入れがある人材は適切ではないことが、最低限の条件です。
後継者を募集するメリットとは?
事業承継の後継者を募集すると、以下のようなメリットを得ることができます。
- 会社を潰さずに継続することができる
- 会社売却の利益を得ることができる
- 幅広く人材を募集することができる
会社を潰さずに継続することができる
後継者選びは、昨今の中小企業にとって大きな課題となっています。
親族の中に後継者を希望する者がおらず、また、社員の中に任せられる人材がいない場合には、外部から募集する必要があります。
これまで大切に守ってきた会社を継続させるだけでなく、次の段階にステップアップできるチャンスにもなるでしょう。
会社売却の利益を得ることができる
事業を売却することによって、大きな利益を得ることができるのがメリットです。
会社を売却することに抵抗を持っている経営者は多いのですが、自分が育ててきた事業を売却して得た利益は人生の成果だと考え、後のことは後継者に任せて、第二の人生を楽しむようにしましょう。
幅広く人材を募集することができる
社会や時代の変化に取り残されないように、経営者であるあなたが改革を続けてきたからこそ、今の会社があると思います。
会社とは常に変化し続けていますが、これからはもっと急ピッチで時代の変化が訪れる可能性が高いです。
1人の経営者で作り上げた文化は継承しつつも、新しい風を取り入れることで会社は成長を続けます。
後継者を募集する際には、会社にあうかどうかを見極めることも大切ですが、幅広く選ぶことができるので、これまでとは違う新しい変化を与えてくれる人材に出会えるメリットがあります。
後継者を募集するデメリットとは?
後継者を募集することによるデメリットもあります。
以下のようなデメリットを把握した上で、後継者募集をするようにしましょう。
- 良い人材に出会えないことがある
- 社内の混乱を招くことがある
良い人材に出会えないことがある
事業承継の後継者募集には、経営者が決めた条件を設定しますが、あまり条件を厳しくすると、募集サイトやエージェントから応募が集まりにくくなります。
かといって、条件を緩くしてしまうと、後継者としてふさわしくない人材からの応募が増える可能性も高いです。
難しいのですが、応募者一人ひとりの対応をするわけにもいかないため、初期の条件はとても重要になります。
スキル面の他に、経歴や性格を加味した条件、また、経営者が掲げていたビジョンに賛同してくれるような人物を募集するのがおすすめです。
特にビジョンは大切で、会社に新しい変化を与えてくれるような人材でも、ビジョンは揺るがないようにしておくほうが、事業の継続が望めます。
社内の混乱を招くことがある
新しい後継者に出会うのは経営者だけではありません。
これから会社を支えていく社員にとっては、後継者がどのような人なのかは自分の人生がかかっています。
安定していた企業であれば、従業員は変化を嫌うため、一定量以上の不満が生まれることを理解しておく必要があります。
事業承継の後継者には、高いリーダーシップ能力を持った人材を選ぶことで、社員からの反発を恐れることなく、社内の混乱も抑えることができるでしょう。
まとめ
事業承継を親族や社員などではなく第三者にするためには、後継者募集を行う必要があります。
経営者の方は、外部より後継者募集するのは不安や心配もあると思いますが、会社の未来を考えるとステップアップになる可能性も高いです。
現在、後継者が決まっていないのであれば、メリット・デメリットや注意点を把握し、時間に余裕のあるうちに後継者募集も選択肢に入れましょう。
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(編集:創業手帳編集部)