売買、贈与、相続。株式譲渡の準備は出来ていますか?

事業承継には、乗り越えるべき様々な課題がありますが、その中でも多くの経営者を悩ませる大きな課題が、「自社株」の取り扱いです。

自社株は自己資本比率を高めて安定経営を維持する上で必須の資産ですが、これを譲渡する場合は、多額な相続税や贈与税が発生することになります。

本記事では、事業承継における株式譲渡の基本的な知識を解説していきますので、「これから事業承継について準備を始めていきたい」という方は、導入としてぜひご一読ください!

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株式譲渡の方法

事業承継の最もポピュラーな方法として、「株式譲渡」が挙げられます。

現・経営者の保有している自社株を後継者に譲渡することで、そのまま事業経営権そのものを引き渡すことができるのです。

事業承継プロセスはM&Aよりもずっとシンプルであるため、株式譲渡は多くの経営者に採用されています。

以下では、株式譲渡の方法3つを解説していきましょう。

1. 株式の売買

売買によって株式譲渡を行う場合、保有している自社株を引き渡す対価として金銭を受け取ることになります。

この方法は、非親族の者に事業承継する際に用いられます。

信頼している従業員や、マッチングサービスで見つけた外部の後継者に会社を託したい場合におすすめです。

2. 株式の贈与

家族や親族に会社を譲りたい方は、自社株を贈与という形式で譲渡することをおすすめします。

この場合に発生する贈与は、いわゆる「生前贈与」という形式として扱われ、たいていの場合は税金が発生しません。

ただし、状況次第では、しばしば「譲渡所得税」が発生してしまう可能性もありますので、心配な方は税理士などに相談してみましょう。

ちなみに株式贈与には、以下の2パターンがポピュラーな方法として知られています。

暦年贈与 ・株式贈与の中で一般的な方法

・年に110万円以内の贈与なら税金がかからない

・ただし「定期贈与」とみなされた場合は贈与税が発生するため注意が必要

相続時精算課税制度 ・60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子・孫への生前贈与で適用可能

・2,500万円までなら贈与税がかからない

 

3. 株式の相続

現役の経営者が亡くなった場合は、多くの場合、「相続」というかたちで自社株を後継者に譲渡することになります。

ただし譲渡先は、遺言で指名された方になりますので注意しましょう。また遺言がない場合は、親族での協議により譲渡が決定されるため、亡くなった経営者の意志を反映できない可能性が非常に高いです。

事故や病気は、誰にも予測ができません。“まさか”のときに後悔なく事業承継ができるよう、現・経営者の方は、早めのうちにしっかりした遺言を作成しておきましょう。

まとめ

事業承継は、これまでに築き上げてきた業績や経営ノウハウなどを次の後継者に引き継ぐ大切な制度です。

本記事では、事業承継の一般的な方法として知られている「株式譲渡」に焦点を当てました。

自社株の取り扱いについて深く理解することは、後悔のないスムーズな事業承継を実現するために欠かせません。

「まだまだ経営者として現役でいるつもりではあるが、事業承継についてそろそろ準備しておきたい」という方は、ぜひ今回の記事を参考に、顧問税理士や行政書士に相談してみるとよいでしょう。

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