事業計画が必要な理由と最適なタイミングとは?
経営者ならば誰もが直面するのが事業承継です。
まだまだ先のことと思っていると知らぬ間に手遅れになっているかもしれません。
そこで今回は、なぜ事業承継の計画を立てなければならないのかということを中心に、事業承継計画のタイミングについても解説します。
自分の会社や事業をどう引き継いで行くか気になっている経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
事業承継を考え始めたらどんな計画立てる?
事業承継とは、事業を後継者に引き継ぐことですが、主に「親族内承継」「親族外承継」「M&A」の3つがあります。
「親族内承継」とは子供や親族が経営者を引き継ぐ方法。
「親族外承継」とは社内の従業員に経営者を引き継ぐ方法。
「M&A」とは企業の吸収合併を行い会社を売却する方法。
いずれの方法を取るにしても、すぐに実践できるわけではありません。
まずは「誰に」「いつ」「どのように」事業承継をさせるかという目標を立てる必要があるのです。
この「誰に」「いつ」「どのように」事業承継をさせるかというのが「事業承継計画」です。
それぞれの事業承継によって会社が取るべき方向性が異なっていきますので、はじめに承継方法を決めてから計画作成をしましょう。
事業承継計画が必要な理由
事業承継はそれぞれの事情もありますが、特に考えておくべき理由としては以下の4つになります。
- 争続になる可能性
- 相続税で会社を手放す可能性
- 経営者が病気になった場合
- M&Aができない
争続になる可能性
誰を後継者にするかを明示し、周囲の納得を得ていない場合に経営者に不慮の事故が起きてしまったら、遺産相続を巡る「争続」になる可能性があります。
もし、経営者がなくなったとしても、会社には顧客や従業員もいるため、活動を止めることはできません。
当面は残った従業員でやりくりすることが可能かもしれませんが、実は会社の重要事項を決めなければならない場面、つまり株主総会決議を行わないといけない場合に問題が起こるのです。
経営者が死亡すると、株式は相続の対象となります。
遺言などがなければ、法定相続人が株式を相続することになりますが、まずは法定相続人が誰であるか調査し確定する必要があります。
もし、法定相続人が複数人いた場合は、遺産分割協議が済むまで株式は相続人全員での共有になりますが、共有した状態での株主総会で意見が割れてしまうと議決権を行使できない自体に陥ってしまうのです。
そのため、会社は重要な事項を決められなくなり、最終的には日常業務にも支障が出てくる可能性があります。
相続税で会社を手放す可能性
株式には資産価値があるため、後継者が承継した場合は、相続税を支払わなければなりません。
ちなみに、非上場企業の株式は換金性が悪く、転売で資金回収をするのは難しいため、相続税を支払う資金を確保していなかった場合、全ての持ち株を売却し相続税を支払うしかありません。
このような事態を避けるためにも、まずは、株式の価値と相続税の金額について試算を行うようにしましょう。
経営者が病気になった場合
経営者が「認知症」など正常な判断能力や意思能力を失った場合には、法律行為を行うことができません。
会社役員として職務はもちろん、法律上の株主としての議決権行使も果たすことができなくなります。
認知症などになってから、代理人に権利を行使してもらうにも、代理権を委任する能力を失っているのでできないでしょう。
特に、代表取締役1名で同人が唯一の株主の場合は、完全に会社が停止してしまいます。
万が一に備えて「民事信託」「家族信託」「任意後見制度」などを行っておくのがおすすめです。
M&Aができない
後継者が見つからない場合は「M&A」を行うことになりますが、M&Aというのはすぐにできるものではありません。
会社を買いたいという人が現れた際に的確な判断ができるように、M&Aがオファーされた時に、従業員の雇用やブランドネームといった、最低限維持したいと考えている条件は整理し、考えておくのが良いでしょう。
事業承継計画のタイミングは?
基本的に「10年計画」で考えるのが理想です。
もし、経営者が75歳での引退を考えているのであれば、65歳から計画を作っていくのが最適なタイミングです。
「借入金の返済」「後継者の教育」「株の移転」などには時間がかかります。
親族内承継を考えているのであれば、子供の年齢が30代くらいで仕事はもちろん、部長や専務などの役職も経験させる必要があります。
贈与税の納税執行猶予制度を受ける場合には「後継者が贈与の直前において3年以上役員であること」といった条件もあるので、10年程度の計画で事業承継を考えていくのが理想的だと言えるでしょう。
事業承継対策の流れ
事業承継対策を行うことを決めた場合、どのような流れで行えば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。
ここからは事業承継対策の基本的な流れを解説します。
現状分析
事業承継の現状分析では、オーナー経営者だけでなく役員・従業員・取引先といった利害関係者全ての視点から、現状を分析する必要があります。
現状分析後は、できるだけ良い状態で後継者に引き継げるように、事業内容や財務内容の改善を行います。
万が一事業が先細りしており立て直せないというのであれば、廃業も考える必要があるでしょう。
財産評価
事業に使っている資産がどれくらいあるか確認しましょう。
承継する資産には、株式のほか会社に貸し付けている個人の資産も含まれます。
なお、非上場企業の株式は上場企業のように市場価格がありませんので、以下の方法で株価を算定してください。
- 類似業種比準方式:類似した業種である上場企業の株価、財務内容を参考に株価を算定
- 純資産価額方式:自社の純資産額を参考に株価を算定
株価の算定は非常に難しいので、事業承継を取り扱う税理士に相談するのがおすすめです。
後継者の選定
次に後継者の選定を行いますが、基本的には以下の流れで行いましょう。
親族に後継者がいる場合:親族へ承継
親族にいない場合:社内に後継者がいるかを検討する
社内に後継者がいる場合:従業員へ承継
社内の後継者がいない場合:第三者へ承継もしくは廃業
事業承継計画の作成
事業をどのような方法で承継するかが決まったら、以下のような方法で事業承継計画を作成しましょう。
- 後継者に株式を生前贈与する
- 後継者に遺言で株式を相続させる
- 株式を後継者に買い取らせる
- 株式に関する会社法の制度を利用する
上記で記載しましたが、承継計画は10年が理想的なので、スケジュールは経営者の引退を決めた上で逆算して決定しましょう。
社長を退任後、会長となって後継者の後見をする場合は、社長退任時期だけでなく会長退任の時期も決めておく必要があります。
計画の実行
最後は、事情承継計画を実行するだけです。
ただし、計画の実行を行う上では定期的に進捗を確認する機会を持ちましょう。
定期的に進捗を確認することで、正しく計画が実行できているか確認することができます。
また、円滑に事業承継を行うためには、後継者との信頼関係が重要です。
無理難題を押しつけたり、ミスを必要以上に咎めたりすると後継者は萎縮してしまうので注意してください。
まとめ
今回は、事業承継の計画をなぜ立てなければならないのかということを中心に、事業承継計画のタイミングについても解説しました。
事業を持続させていくためにも、次世代へのスムーズな事業継承は、非常に重要です。
まだ事業継承計画について考えていなかったという経営者の方は、この機会に検討してみることをおすすめします。
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(編集:創業手帳編集部)