贈与税や相続税は対策が必須!事業承継に重要な贈与税への対策とは?

多くの企業が悩みを抱えている事業承継。

後継者が不在という点で悩みを抱えている企業は少なくありませんが、事業承継は後継者不在問題以外にも贈与税や相続税などの様々な税金に対して対策を練る必要があります。

税金対策をしっかりと行わないと、多額の税金の支払いが事業承継後に求められ、税金の支払いによって経営が圧迫されて経営不振に陥ることも少なくありません。

贈与税や相続税の税金に関して考える必要がありますが、中でも贈与税は相続税と比べると対策が練りやすいと言われています。

今回は、どのような贈与税対策があるのか、税金削減方法やおすすめの税制・相談先について解説をしていきます。

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事業承継とは?

事業承継とは、事業・会社を後継者に承継していくことを指す言葉です。

経営者が自分の会社や事業を残していきたいという場合に行い、経営者の親族が後継者になって事業や会社を運営していく「親族内承継」が一般的な方法になります。

後継者は必ずしも親族内でないといけないというわけではなく、親族以外の従業員に承継していく「従業員承継(親族外承継)」も存在します。

他にも投資家や新しいビジネスに挑戦しようと考えている経営者・起業家が買収や合併を行うM&A(※1)などもあり、3種類の方法の中で経営者や自社の考えに合った方法を選ぶことが大切です。

※1 M&A:Mergers and Acquisitionsの略。

贈与税とは?

「贈与税」という言葉は多くの人が耳にしたことがあるのではないでしょうか。

贈与税とは財産の受け渡しが行われた際に発生する税金で、「暦年課税」と「相続時精算課税」に分かれます。

贈与税は年間110万円以内であれば税金がかからないようになっており、110万円以内の贈与を繰り返し長期に渡って相続税無しで贈与することも可能です。単純に毎年110万円ずつで財産贈与を行うと、10年間では1100万円までの贈与が非課税になります。

年間110万円を超えた部分に課税が行われ、暦年課税は110万円の基礎控除を上回った分の贈与税を申告して、税金を納付するスタイルです。

相続時精算課税の場合は財産の受け渡しがあっても、累計で2,500万円を超えるまでは贈与税の対象とならない課税方式になります。要件をすべて満たせば利用できますが、届出書を提出する必要である上に、基礎控除がなく、贈与が行われる度に申告が必要です。

事業承継は会社・事業を後継者に渡すため、贈与税と深い関りがあります。

事業承継対策!贈与税を削減する3つの方法

・生命保険を活用
・役員退職金の支払い
・相続時精算課税の活用

上記の3つが贈与税を削減する方法として挙げられます。

ここからは、それぞれの方法について詳しく解説を行っていきますので、参考にしてください。

生命保険を活用

多くの人が加入をしている生命保険は、万が一何か起きた場合の保険として活躍してくれますが、税金対策・節税対策として活用されることも多いです。

生命保険の資産価値は解約返戻金の金額と同等の評価が行われるため、解約返戻金が低いほど生命保険の資産評価も低くなります。

長く保険をかけるほど解約返戻金の金額が大きくなりますが、長期間保険に対して支払いをすることで、現金の資産を減らすことが可能です。

後継者に渡す資産が多くなるほど当然贈与税も高くなるため、資産を減らす目的で活用している経営者は大勢います。

役員退職金の支払い

贈与税対策として、役員・従業員に対して退職金の支払いを行うという方法もおすすめです。

企業によって退職金の支払いは大きく異なりますが、役員や従業員に退職金を支払うことにより、株価の引き下げを行うことができます。

さらに支払われる役員退職金は贈与税等などの事業承継費用に回すことも可能になるため、補助金などが支給される際に有効的です。

株価の引き下げを行うことで贈与税の負担も減るため、対策のひとつとして推奨します。

相続時精算課税の活用

事業承継時などの贈与税対策として、相続時精算課税の活用も人気があり、非課税の範囲内で生前贈与を行えば、年間2500万円に対する贈与税の支払いなしで事業承継が行えます。

相続税が発生するというデメリットはありますが、相続税率と贈与税率を見比べた場合、相続税率のほうが低いため、税金を抑える対策としてはおすすめです。

相続時精算課税を利用する場合は申告などの内容が難しくなるため、なるべく税理士などの専門家に相談をしながら進めていくと良いでしょう。

贈与税対策は事業承継税制もおすすめ!メリットや注意点は?

事業承継は、贈与税や相続税の税金支払いを楽にしてくれる税制が存在します。

ここからは、事業承継税制はどのような内容なのか、利用するメリットや注意点を含めて解説をしていきます。

事業承継税制とは?

事業承継税制は、わかりやすく言うと相続税や贈与税の支払いに対して猶予期間の設定、または免除をしてくれる制度です。

もちろん事業承継税制を利用する際には様々な条件が存在しますが、事業承継税制を利用することで多額の税金が発生した際に、無理のない支払いが可能になります。

日本では超高齢化が進んでおり、2025年には団塊の世代が70歳を超え、中小企業の多くの経営者が引退すると考えられています。

しかし、「中小企業の約半分ほどが後継者未定状態」と帝国データバンクによる調査結果で出ており、廃業・解散を考えている企業も少なくありません。

後継者が決まらない理由として「税金の支払い」も大きな理由に含まれているため、事業承継を円滑に行いやすくするために、そして後継者の負担を減らすために生み出された税制になります。

条件

事業承継税制は前述でも触れたように、クリアしなければならない条件が存在します。

・後継者と先代経営者の条件
・中小企業である
・継続年数
・次の世代も事業承継を行う必要がある

後継者と先代経営者の条件や中小企業であるという点では、下記に該当することが求められます。

【先代経営者・後継者の条件】

先代経営者の条件 後継者の条件

・会社の代表取締役を経験済み
・贈与 or 相続の直前に会社の筆頭株主
・贈与時において代表取締役ではないこと

・贈与 or 相続によって会社の筆頭株主になること
・贈与を受ける時に会社の代表取締役になっていること
・贈与前に3年間継続してその会社の役員である

 

【中小企業の定義】

業種 資本金 従業員
製造業など 資本金or出資額が3億円以下 常勤従業員数が300人以下
小売業など 資本金or出資額が5,000万円以下 常勤従業員数が50人以下
卸売業など 資本金or出資額が1億円以下 常勤従業員数が100人以下
サービス業など 資本金or出資額が5,000万円以下 常勤従業員数が100人以下

継続年数に関しては、相続税や贈与税を受けた後、5年間は社長であり続けるという点が条件になるため、税金の支払いが発生した年をしっかりと把握しておきましょう。

ただし、社長であり続けたいけど企業が悪化しているなど、やむを得ない場合は免除してもらえる可能性もあります。

利用するメリット

事業承継税制を利用するメリットは、何と言ってもすぐに支払う必要がない・免除の可能性があるという点にあります。

事業承継を実施した企業の中には、税金対策が十分にできておらず、承継後に多額の税金の支払いを求められている企業も少なくありません。

多額の税金の支払いができたとしても、経営を行うための運営資金に底が付き、経営不振から倒産・解散してしまう企業もあるのです。

猶予期間を設けることで税金の支払いに対する負担が発生しにくくなります。

利用する際に知っておくべき注意点

事業承継税制を利用する際に気をつけておきたいのが「期間」と「次世代も事業承継を行う必要がある」という点です。

当記事で紹介している事業承継税制は期間限定の特例措置でもあり、あまり利用する経営者がいなかったため講じられています。

事業承継を推進していくことが目的なので、5年以内で社長ではなくなる・贈与などの選択を行わずに、株式を誰かに売却をしてしまう場合は、今まで猶予されていた税金を払わなければなりません。

条件などをしっかりと確認した上で利用するようにしましょう。

贈与税関係は誰に相談するべき?

贈与税のことでわからないことがある場合は、税理士に相談をするようにしましょう。

贈与税や相続税だけでなく、資産税・事業承継にも詳しい税理士に相談するのが好ましいです。

ただ贈与税や事業承継に詳しい人ではなく、会社の状況を親身になって聞いてくれる専門家に相談するようにしてください。

事業承継に強いおすすめ税理士法人

・税理士法人チェスター
・税理士法人 山田&パートナーズ
・税理士法人 ベリーベスト
・税理士法人 TOMO

上記の4つが事業承継に強い税理士法人として有名です。

これから、それぞれの税理士法人の特徴について解説をしていきますので、参考にしてください。

税理士法人チェスター

税理士法人チェスターは贈与税だけでなく、相続税に強いことで有名な税理士法人です。

東京・大阪・福岡をはじめ、全国に7店舗構えており、専門家が200名以上も在籍しています。

贈与税や相続税だけでなく、事業承継に関する相談件数も多いため、多くの経営者・企業と携わってきたノウハウを活かしながら提案してもらえます。

税理士法人 山田&パートナーズ

税理士法人 山田&パートナーズは全国各地に事務所を構えており、相続税や事業承継に強いことでも知られています。

税理士法人の中では珍しい事業承継コンサルティングや、M&Aコンサルティングなども行っています。

自社株の承継方法・承継コストの検討・事業承継税制の特例の活用などのサポートを丁寧に行ってくれため、進め方がわからない経営者にも向いている税理士法人です。

事業承継実施後の税務申告などをフォローしてくれる点も特徴として挙げられます。

税理士法人 ベリーベスト

税理士法人 ベリーベストは東京都港区六本木に事務所を構え、顧問企業数1300社以上の実績を持ちます。

初回60分は無料で相談することが可能なので、とりあえず専門家の人に相談した上で事業承継を考えていきたいと考えている経営者・後継者におすすめです。

事業承継支援の依頼を行うと、問題の分析や事業承継計画書の作成なども手伝ってくれるため、「専門家と二人三脚で進めていきたい」という場合にも向いています。

税理士法人 TOMO

税理士法人 TOMOも事業承継に強く、M&Aサポートから株価算定、相続対策コンサルティングまで行っています。

事務所は東京都港区南青山に存在し、事業承継・株式承継支援は100万円から対応してくれます。

事業承継を成功させるための計画策定から実行、実行後のフォローまで丁寧な支援を受けることができるため、顧問税理士がいない場合におすすめです。

まとめ

事業承継は、相続税や贈与税などの税金対策もしっかりと行うことが重要です。

税金対策をしっかり行っておくことによって後継者からも承諾をもらいやすい上に、承継後の経営の安定化を図りやすくなります。

今まで守ってきた会社・事業をこれからも残していく大切なポイントなので、専門家に相談をしながらしっかりと対応していくようにしましょう。

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(編集:創業手帳編集部)