事業承継・M&Aを成功させるために押さえておくべきポイントは?

そろそろ事業承継の計画を立てたいが、何から始めたら良いのかわからないという経営者は多いのではないでしょうか。

事業承継を成功させるためには法令や税制について学ぶだけでなく、利害関係者への配慮なども必要です。

そこで今回は、事業承継の成功事例を参考にしつつ、成功のポイントや注意点などを解説していきます。

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事業承継とは?


事業承継とは、経営者の引退後も事業を継続するために会社を後継者へ引き継ぐことです。

会社を継ぐと聞けば、親から子に会社が引き継がれるイメージがありますが、親族以外の従業員などに承継するケースや投資家や起業家に自社を買収・合併してもらうM&Aという方法もあります。

事業承継は会社の経営権や資産を譲るだけでなく、経営者の意志も後継者に託して会社を存続・発展させるために行われます。

今まで守ってきた会社を後世に残したいという思いから事業承継を行う経営者が多いですが、承継に失敗して倒産してしまう企業も多いです。

事業承継の成功事例にはどのようなものがある?


まずは、事業承継の成功事例をケース別にご紹介します。成功事例には事業承継を円滑に進めるヒントが数多くありますので、参考にしてください。

個人事業主の事業承継

70歳を迎えたある個人事業主のAさんは、親族に後継者がいなかったため長年経営してきた店舗の廃業を検討していました。

しかし、商工会議所の経営指導員から「店を残したいなら、マッチング支援サービスを活用した事業承継の方法がある」と教えられ、事業引継ぎ支援センターに相談することを決意します。

事業引継ぎ支援センターに事業承継を検討している旨を伝えたところ、これからお店を開きたいと考えていたBさんを紹介されたので、店舗の売買に向けた話し合いを行うことにしました。

話し合いの結果、Bさんが「事業承継・引継ぎ補助金」を活用してAさんの店舗を買収することになりました。

無事に事業を引き継ぐことができたAさんは、その後Bさんのもとで従業員として働きながら経営をサポートしています。

M&Aによる事業承継

続いて、家族経営で寿司・懐石料理店を営むA社と、レジャー業を営むB社によるM&Aの事例をご紹介します。

A社では厨房設備の老朽化が進んでいましたが、経営者が高齢になっていたこともあり、借金を増やして設備を更新すべきか悩んでいました。

家族からの反対を受けて廃業を検討していたところ、お店の常連である地元信用金庫の担当者からM&Aによる事業譲渡を勧められました。

当初はM&Aに抵抗を感じていたA社ですが、信用金庫から紹介されたB社と協議した結果、家族経営を維持するという条件で売買が成立。

A社は飲食店経営のノウハウをB社に提供する代わりに、資金提供も受けて設備を一新することができました。

その後は、B社と協働してPR活動に力を入れ、新規の顧客やインバウンドによる外国人観光客の獲得に成功しました。

フランチャイズ店舗の事業承継

フランチャイズ店舗を経営していたAさんは、引退した後も従業員の雇用を守るために事業引継ぎ支援センターに事業承継の相談を行いました。

すると、事業引継ぎ支援センターから「定年後に自分の店舗を持ちたい」と考えていたBさんを紹介されたので、フランチャイズ本部とも協議した結果、無事に事業譲渡が成立しました。

現在もAさんの希望通りに雇用が維持されており、フランチャイズ店舗であっても事業承継を活用して従業員たちの雇用を守ることに成功した事例として知られています。

事業承継を成功させるポイントは?


・企業の現状把握と課題の明確化
・情報収集を徹底
・時間をかけて後継者を探す

事業承継を成功させるためには、上記のポイントを押さえておく必要があります。

ここからは、それぞれのポイントを解説していきますので参考にしてください。

企業の現状把握と課題の明確化

事業承継の計画を立てる前に、企業の現状を把握して解決すべき課題を明確にしましょう。

課題を残したまま後継者に会社を引き継ぐと、のちのち大きなトラブルが起きる恐れがあります。

企業の現状と課題を明確化しておけば、専門家への相談もスムーズに進めやすくなります。

情報収集を徹底

M&Aを行う場合は、十分な情報収集を行うようにしましょう。

近年はM&Aマッチングサービスや事業承継ネットワークの支援機能が拡充されており、買い手企業や売買事例の情報収集が行えます。

同業他社の市場価値などをチェックしておくと、自社の売却価格を設定する際に役立ちます。

時間をかけて後継者を探す

事業承継を成功させるために、時間をかけて後継者を探すようにしましょう。

急いで事業承継を行うと、後継者の選定や育成に失敗する可能性が高くなります。

考え方の違いから承継トラブルに発展することもあるので、会社の将来像や経営方針を共有できる後継者を選ぶようにしましょう。

事業承継時に注意すべきポイントは?


・準備不足
・承継後のビジョンがない

何も対策を立てずに事業承継を進めると失敗するリスクが高まってしまうので、上記の2つのポイントに注意しましょう。

準備不足/h4>

節税対策や後継者育成などの準備が不足していると、事業承継に失敗する可能性が高くなります。

準備不足のまま事業承継を行った結果、後継者問題や高額な税金の支払いで経営が悪化してしまう企業も少なくありません。

入念な準備が成功のカギを握るため、時間をかけて後継者を育成し、十分な節税対策を行ってから会社を引き継ぎましょう。

承継後のビジョンがない

事業承継後の会社の将来像を考えておくことも大切です。

事業承継を自分のゴールと考えている経営者は多いですが、後継者に引き継がれた会社は新しいスタートを切ることになります。

承継後に経営不振に陥って倒産してしまう企業も少なくないため、事業承継後の経営計画をしっかりと練るようにしましょう。

事業承継におすすめの相談窓口4選

・事業承継マッチング支援
・M&A総合研究所
・事業引継ぎ支援センター
・税理士法人 山田&パートナーズ

事業承継におすすめの相談窓口は、上記の4つです。

事業承継マッチング支援


「事業承継マッチング支援」は、日本政策金融公庫が提供しているマッチング支援サービスです。

財務省所管の政策金融機関がサービスを提供しており、専門の担当スタッフが丁寧に教えてくれます。

利用にあたって支援申込書の準備や秘密保持契約が必要ですが、無料で支援を受けられるため中小企業や個人事業主におすすめです。

M&A総合研究所


「M&A総合研究所」は、完全成功報酬型のマッチング支援サービスを提供しているM&A仲介会社です。

着手金不要のため、時間をかけて事業譲渡先を選ぶことができます。独自のAIマッチングシステムも導入しており、AIを利用して自社に適した買い手を見つけることも可能です。

M&A仲介実績が豊富で、専門スタッフが事業承継に関する悩みや相談に丁寧に対応してくれます。

事業引継ぎ支援センター


「事業引継ぎ支援センター」は、独立行政法人「中小機構」が運営している事業承継専門の支援機関です。

相談窓口が全国各地に設置されており、ローカル企業の経営者でも足を運びやすく、気軽に利用できます。

事業承継の相談実績が多く、過去の成功事例を参考にした様々な提案を行ってくれます。

税理士法人 山田&パートナーズ


「税理士法人 山田&パートナーズ」は、事業承継やM&Aのコンサルティングを行っている税理士法人です。

コンサルティング実績が豊富で、様々な事業承継に携わってきたノウハウを活かした提案を行ってくれます。

事業承継計画の策定や承継後に必要な税務申告などもフォローしてくれるので、事業承継をスムーズに進めることができます。

まとめ


事業承継に成功した企業は、十分な準備を行った上で専門家の助言や指導を受けながら事業の引継ぎを行っています。

事業承継に向けて解決すべき課題を明確化し、不安な点は専門家に相談することで失敗やトラブルを回避することができます。

事業承継の支援を行っているサポート機関は成功事例のデータを豊富に持っているので、事業承継をどのように進めれば良いかわからない場合は気軽に相談してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)