農業も後継者不在で悩む人が多い
農業は気温や天候・土壌管理・害虫対策など様々なことを気をつけないといけないため、熟練の技術やノウハウがないと仕事ととして成立させるのはなかなか難しいでしょう。
作成している田んぼや畑などの規模が小さくても、工程や管理は農家すべてに共通するので、大変な仕事といっても過言ではありません。
仕事内容も大変ですが、多くの農家が悩みを抱えているのが後継者不在問題です。
なかなか事業承継について話す機会がないため、他の人はどのように農業を引き継いでいるのかわからないと感じている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、農業の事業承継はどのように行う必要があるのか、事業承継のメリットや注意点について解説をしていきます。
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目次
事業承継とは?
事業承継とは、会社や事業を後継者へと承継していくことを指す言葉です。
農家だけでなく、中小企業の半分以上が事業承継について悩みを抱えており、特に問題視されているのが後継者の不在です。
農家も後継者がいないことで悩みを抱えている人は多く、後継者がなかなか決まらない上に体の限界が訪れたことによって農業をやめる人も少なくありません。
日本は高齢化社会の影響もあり、農業を承継して後世に残していくということは難しい状態になっています。
農業の事業承継は2種類
農業の事業承継は、主に「親族間承継」と「M&A」が挙げられます。
事業承継は他に、従業員に承継していく親族外承継・従業員承継も存在しますが、農業では夫婦または個人で対応している場合が多く、従業員を雇っていることが少ないです。
「親族間承継」か「M&A」を行う人が多いため、ここからはそれぞれの内容について解説をしていきます。
親族間承継
親族間承継とは、自分の子ども・親族に対して承継していく方法になります。
農業の事業承継を行う場合に最も多い手段です。
親族間承継は農業だけでなく、中小企業や大企業でも選ばれることが多く、経営者の方針やノウハウをそのまま引き継いでもらいやすい点が魅力と言えます。
M&A
M&Aとは「Mergers」and 「Acquisitions」の略称で、投資家や新しいビジネスを視野に入れている経営者や起業家に買収・合併をしてもらう方法です。
買収・合併をしてもらうため、売却益を獲得しやすい上に、農業の場合は話し合いを行うことでM&A後も従業員として農業を続けることもできます。
M&Aは難しいと感じる農家の人も多いですが、近年ではM&Aの支援を行うマッチング支援サービスも多く登場しているため、農業の事業承継を考えている人にもおすすめです。
親族間による農業の承継を行うメリット
・親から直にノウハウを教えてもらえる
・初期費用を抑えられる
・取引していた顧客を引き継げる
上記の3つが親族間による農業の承継を行うメリットになります。
これから、それぞれのメリットについて解説をしていきますので、ぜひ参考にしてください。
親から直にノウハウを教えてもらえる
親族間承継における最大のメリットといっても過言ではないのが農業を営む親からノウハウを教えてもらいやすいという点です。
やはりまったくつながりのない人よりは、親族間での承継だった場合は些細なことでも教わりやすい環境構築がすでにできています。
日頃から関わりにある人から直にノウハウを教えてもらうことによって、農業を円滑に行いやすい点がメリットになります。
初期費用を抑えられる
さらに親族間での承継の場合は、農業を行う際に必要な道具などをそのまま引き継ぐことができるため、初期費用を抑えることが可能です。
農業はそれぞれ規模が異なりますが、規模が大きい場合にはたくさんの農機具がないと効率が悪くなってしまうでしょう。農機具も一つひとつ揃えていくには莫大な資金が必要になります。
従業員やM&Aの場合は農機具などを引き継ぎにくいため、農業に必要な道具をそのまま引き継げるという点は親族間承継のメリットです。
取引していた顧客を引き継げる
さらに親族間での承継は取引先・顧客に対して挨拶しやすいので、取引きしていた顧客をそのまま引き継げます。
他の仕事でも同様のことが挙げられますが、日本は人とのつながりや付き合いを重視する傾向があります。
親族が後継者になった場合、挨拶を行うことで長期的に顧客となってもらいやすいです。
ただし、取引先によって求めるものが変わるため、傾向を把握した上で作っていかないと顧客離れしてしまう可能性があるので注意してください。
親族間による農業の承継を行う際の注意点
・後継者が見つかりにくい
・コミュニケーション不足が親子間のトラブルを招く
・新たな取り組みができない
親族間承継は多くのメリットがありますが、上記の3つが注意点として挙げられます。
続いては、それぞれの注意点について解説をしていきますので、参考にしてください。
後継者が見つかりにくい
親族間での承継で最も悩みを抱えるのが「後継者がいるか」という点です。
自分自身の子どもや親族が多かったとしても、必ず農業を引き継いでくれるというわけではありません。
親族間での後継者探しは難しいため、多くの人が悩みを抱えています。
コミュニケーション不足が親子間トラブルを招く
さらに親族間承継の場合は、親子間トラブルを招きやすいというデメリットもあります。
大塚家具や老舗和菓子店「赤福」でも親族間承継が行われましたが、どちらもコミュニケーション不足による影響で、事業承継を失敗しました。
「親子だから大丈夫」と思われがちですが、コミュニケーションが不足してしまうとトラブルになりやすいため、たとえ親しい関係にある相手でも節度のある行動を心がけましょう。
新たな取り組みができない
親から直接ノウハウを教わることが可能ですが、そのままのノウハウで農業を引き継ぐことになるため、新しいことを始めにくくなります。
特に前事業者のこだわりが強かったり伝統を重んじる意志があったりする場合、新しい取り組みを行おうと考えると反対されることもあるのです。
親子間トラブルに発展してしまう可能性があるため、時代のニーズに沿った新しい取り組みを始められなくなってしまいます。
M&Aによる農業の承継を行うメリット
・スマート農業を実施しやすい
・後継者を見つけやすい
・技術や知識を持った従業員をそのまま雇用できる
M&Aで農業の承継を行う場合は上記の3つがメリットとして挙げられます。
それぞれのメリットについて解説をしていきますので、参考にしてください。
スマート農業を実施しやすい
近年では、「スマート農業」を実施している農家が増えています。
スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術などを駆使しながら作業する方法です。例として挙げると、スマホを操作することによって水撒きができたり、温度管理ができたりします。
スマート農業を実施することによって管理や工程の手間を大幅に軽減できるため、導入している人が増えています。
資金があるM&A先だとスマート農業の実施がしやすいため、今まで守ってきた農地をさらに活性化させることが可能です。
後継者を見つけやすい
M&Aの場合は親族外から後継者を探すことが可能なので、後継者が比較的見つかりやすくなります。
もちろん自分が考える理想の後継者を探すためにはそれなりの時間がかかりますが、農業を引き継いでくれる人物を探しやすいため安心です。
技術や知識を持った従業員をそのまま雇用できる
従業員がいる場合は、M&Aを行うことによってそのまま雇用することも可能です。
さらに実例としては、M&Aを行うことによって売却益を確保しながら農業実施者がそのまま従業員として働く、あるいは現場の指揮を取っているところもあります。
農業のM&Aでは従業員や家族の雇用を守りながら農地を残すことができるため、多くの農家におすすめです。
M&Aによる農業の承継を行う際の注意点
・希望する条件下での後継者を探すのに時間がかかる
・希望のタイミングで売却/取得できないケースもある
・従業員との信頼関係の構築が必須
上記の3つがM&Aを行う際の注意点になります。
それぞれの注意点について解説をしていきますので、メリットとあわせて把握しておきましょう。
希望する条件下での後継者を探すのに時間がかかる
メリットでも少し触れましたが、M&Aでは希望する条件下での後継者探しは時間がかかります。
しかし、近年ではM&Aも行いやすいように、M&Aマッチング支援サービスも多く登場しているため、マッチング支援サービスを利用することがおすすめです。
マッチング支援サービスを使っても半年程度かかるため、半年から1年程度を目安にしてじっくりと適正な後継者・M&A先探しを行うと良いでしょう。
希望のタイミングで売却・取得できないケースもある
農業の承継でありがちなのがタイミングが合わないという点です。農業は他の仕事と違ってタイミング・季節が重要となります。
忙しいタイミングでM&Aを行ってしまうとうまくやり取りができず、M&Aによる承継や契約を実施する際に確認ミスなどが起きてしまう可能性もあります。
売却や取得などのタイミングはしっかりと見てから行うようにしましょう。
従業員との信頼関係構築が必須
M&Aを行う際には、従業員との関係づくりも大切です。
従業員をそのまま引き継いでもらう場合は安心できますが、M&A先と関係が悪くなってしまうと切られてしまう可能性があるとともに、従業員の離職から経営がうまくいかない場合もあります。
モチベーション低下や離職を防ぐためにも、コミュニケーションは欠かさないように心がけ、従業員との信頼関係をしっかりと構築するようにしてください。
まとめ
農業は事業承継を考える際に、会社経営とは違ってタイミングなどが重要になってきます。
承継について詳しいという人は少ないため、なるべくマッチング支援サービスなどを利用するのがおすすめです。
マッチング支援サービスは単純に事業承継・M&A先を見つけることができるだけでなく、事業承継・M&Aに関する知識を学べます。農業の承継を考えている人は利用してみてはいかがでしょうか。
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(編集:創業手帳編集部)