事業承継は成功する企業と失敗する企業がある!
日本は少子高齢化が進んでいますが、高齢化による影響はこれからさらに甚大になると考えられています。
中でも中小企業の半分近くが後継者が不在・決まっていない状態となっており、廃業・解散を視野に入れている企業も少なくありません。
会社を残し日本の労働生産性を落とさないために、日本では事業承継支援を様々行っていますが、事業承継を失敗してしまう企業と成功する企業に分かれます。
なぜ失敗してしまうのか、事業承継が失敗する企業の特徴や具体的な原因などを詳しく解説していきます。
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目次
事業承継に失敗してしまう企業の特徴
- 見切り発車での対応
- 遺族への対応が悪い
- 税金対策や運営資金を軽視
それぞれの特徴について解説をしていきますので、参考にしてください。
見切り発車での対応
事業承継が失敗してしまう原因として、多くの企業が当てはまるのが「見切り発車での対応」です。
事業承継はしっかりとした入念な準備を行った上で承継させていくことで成功する可能性が高いのですが、後継者やM&A先が見つかったため、すぐ承継をしてしまうと、後々様々なトラブルがおこります。
事業承継においては、一つずつ課題解決を行っていくことが必須になるため、入念な準備を行うようにしましょう。
遺族への対応が悪い
遺族への対応にも注意が必要です。
もちろん企業の対応だけに限った話ではなく、事業承継の相談をした専門家による、遺族へ対応が悪いという場合もあります。
遺族への対応が悪い場合は、相続トラブルなどに発展しやすいので気を付けてください。
税金対策や運営資金を軽視
事業承継の失敗をしてしまう企業の中には「税金対策」や「運営資金」について軽視してしまっている場合もみられます。
事業承継できっても切り離せない関係なのが「税金対策」です。
また、相続税や贈与税に関する対策は行う必要があるため、税金対策ばかりに手がとられ、承継後の運営資金に意識が向いていないケースも多く挙がっています。
逆もまた然りで、事業承継後の運営資金に目が行き過ぎて、税金対策が十分にできていなかったという企業もあります。
税金対策と運営資金は、どちらも意識するようにしましょう。
多くの企業が事業承継に失敗してしまう具体的な原因【経営者編】
- 準備が間に合っていない
- 経営者の状況把握ができていない
- 親族に対する配慮が足りない
- 後継者が決まっていない
- 税金対策ばかりに意識が向いている
- 経営者の影響力保持
事業承継が失敗してしまう企業の特徴について解説しましたが、次はより具体的な失敗の原因について経営者編と後継者編と別にしてそれぞれ解説していきます。
事業承継は経営者がしっかりと対応しないと失敗する可能性が高いです。
失敗しやすい具体的な原因を参考にしながら、対策を練るようにしてください。
準備が間に合っていない
経営者の事業承継に対する行動で起きてしまいがちなのが「準備が間に合わない」という点です。
事業承継の準備期間の目安としては5年から10年かかります。
もちろん、5年から10年かけて準備したから必ず成功するというわけではありませんが、入念を準備を行うことで失敗しにくくなるでしょう。
事業承継では「後継者の指導」「承継のための会社の準備」「節税対策」「後継者探し」など、様々なことを行う必要があるため、期間に余裕を持ってしっかりと準備をしていくことが重要です。
経営者の状況把握ができていない
後継者が決まり余裕をもって準備していたとしても、経営者が持病を抱えている場合は、急な体調不良になる場合も少なくありません。
経営者が指示できない状態になってしまうと、事業承継も滞るため、経営者の体調等も考慮し万が一に備えた準備・行動を行っておくのが好ましいです。
親族に対する配慮が足りない
失敗しやすい企業の特徴として「遺族への対応が悪い」と挙げていますが、経営者が親族に対する配慮が足りない場合も失敗しやすいです。
他の親族の理解を得ていない・疎かにしてしまっていると、後継者や経営者に対してのトラブルに発展しやすいので、事業・会社を引き継がない親族に対しての配慮もしっかりと行うようにしましょう。
後継者が決まっていない
事業承継で失敗する原因では、後継者が決まっていない状況も挙げられます。
事業承継は後継者やM&A先が決まってからスタートしますので、後継者が決まっていない状態では気持ちが焦り従業員にも不安を与えてしまうでしょう。
さらに、後継者が決まっていない状態で経営者に万が一のことが起きてしまった場合は、会社が宙に浮いてしまう状態になるため、経営不振に陥ってしまいます。
近年では後継者探しの支援をしてくれるマッチングサービスも多く登場していますので、後継者探しもなるべく早めに行動するようにしてください。
税金対策ばかりに意識が向いている
相続税や贈与税対策を行っていないと、事業承継後に支払い多額となり、経営不振に陥る企業も多いです。
税金対策を行う経営者は多いのですが、税金対策に意識が向き過ぎて承継後の運営資金に目が行っていない人も少なくありません。
税金の支払いができたものの、経営状態が危うい状態になるのでは本末転倒なので、事業承継を失敗させないために運営資金なども考えるようにしましょう。
経営者の影響力保持
事業承継を行う上で、経営者に最も意識していただきたいポイントが「影響力保持」です。
意経営を後継者に譲ったものの代表という意識が強すぎて、後継者の経営に口を挟んでしまう方もいます。
前経営者が口を挟むなどをしてしまうと、社内に混乱を招きやすくなるため注意してください。
多くの企業が事業承継に失敗してしまう具体的な原因【後継者編】
- 従業員や取引先との関係が構築できていない
- 後継者が育っていない
- 親族間での仲が悪い
後継者が意識するべき失敗しやすいポイントについて解説していきますので、経営者編と合わせて参考にしてください。
従業員や取引先との関係が構築できていない
後継者が決まったとしても、従業員や取引先と関係が上手にいかず、トラブルに発展してしまうことも少なくありません。
従業員が辞めてしまったり、取引先との関係が終わってしまったりする場合もあります。
人と人との絆・信頼関係によって会社は成り立つため、従業員や取引先との関係も構築することが大切です。
後継者が育っていない
多くの企業が承継後に悩みを抱えるのが「後継者の育成」です。
後継者が会社経営を行ったことがなくまた経験が少ないと、承継後に何をしたらいいのかわからないという場合も多いです。
事業承継は後継者の育成によっても成功につながるため、後継者は勉強・研修を行うようにしてください。
親族間での仲が悪い
後継者と親族間の仲が悪い場合も、事業承継の失敗原因となる場合があります。
親族と良好な関係の後継者は、協力も得られやすいですが、仲が悪い場合はトラブルに発展しやすいです。
相続問題での悩みを抱える企業も少なくないため、後継者になる人物は親族間との関係構築も重要視してください。
事業承継を成功させるコツとは?
- 運営資金を含め税金対策を考える
- 従業員や取引先との関係構築をしっかりと行う
- 後継者の研修を徹底する
- 専門家だけに頼らない
- 十分な期間を設けて準備を行う
上記の5つが成功をさせたい場合におさえておきたいコツになります。
それぞれのコツについて解説をしていきますので、失敗してしまう原因を教訓にしながら対策を練ってみてください。
運営資金を含め税金対策を考える
様々な節税対策を行う経営者は多いですが、税金などの節税対策だけでなく、運営資金も視野に入れるようにしましょう。
税金の支払いを猶予してもらう税制なども存在するため、条件に当てはまる場合はそういった制度を利用しつつ運営資金を準備するのがおすすめです。
運営式については、金融機関や日本政府も事業承継支援に力を入れているため、融資などにも対応してもらいやすい傾向になっています。
また、承継後に新しい事業にチャレンジしたいと考えている企業に対して下記のような補助金も公募されていますので、確認するのがおすすめです。
【新しい事業を応援する補助金:後継者承認支援型】
事業転換 | 補助率 | 補助上限額 | |
---|---|---|---|
個人事業主を含む小規模事業者 | 無し | 2/3 | 200万円 |
上記以外の人 | 無し | 1/2 | 150万円 |
個人事業主を含む小規模事業者 | 有り | 2/3 | 500万円 |
上記以外の人 | 有り | 1/2 | 375万円 |
参照:平成29年度補正事業承継補助金
【新しい事業を応援する補助金:事業再編・事業統合支援型】
対象となる取り組み
- 合併
- 会社分割
- 事業譲渡
- 株式交換
- 株式移転
- M&Aの取り組みなど
事業転換 | 補助率 | 補助上限額 | |
---|---|---|---|
採択上位者 | 無し | 2/3 | 600万円 |
上記以外の人 | 無し | 1/2 | 450万円 |
採択上位者 | 有り | 2/3 | 1,200万円 |
項目名 | 有り | 1/2 | 900万円 |
参照:平成29年度補正事業承継補助金
従業員や取引先との関係構築をしっかりと行う
従業員や取引先との関係も、意識するようにしましょう。
人とのつながりは経営にも大きく影響を与えやすく、従業員全体が一丸となって行動している企業は大きな力を持っています。
取引先との関係も構築することによって、取引先からさらに違う企業の紹介をしてもらえる場合も少なくありません。
後継者の研修を徹底する
事業承継を行う上では、後継者の研修が必須です。
中小機構などは後継者に向けた研修会なども行っていますし、他の企業も後継者教育に向けた下記のようなセミナーを開催しています。
後継者が知識を蓄えることで、より事業承継の成功へと近づくことができるため、できるだけ後継者も研修を受けるようにしてください。
【後継者研修にも役立つセミナー例】
開催予定日 | 講義内容 | |
---|---|---|
中小企業大学校東京校(オンライン受講可能) | 2021年4月21日(水曜) | ・事業承継の現実 ・おさえるべきポイント ・経営後継者研修概要説明 ・相談会 |
中小企業大学校東京校(オンライン受講可能) | 2021年5月25日(火曜) | ・事業承継の現実 ・おさえるべきポイント ・経営後継者研修概要説明 ・相談会 |
東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館 会議室(予約必須) |
2021年6月12日(土曜) | ・理念のある会社の強さ ・理念と社員の関係性を理解 ・理念がなぜ浸透しないかについて |
東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館 会議室(予約必須) |
2021年6月26日(土曜) | ・経営環境を把握する大切さを知る ・環境を俯瞰して問題の真因を見つけることを理解する ・方向性を導き出す思考力を養う |
オンラインセミナー(ジャイロ総合コンサルティング) | 非公開 | ・継ぐ側の心構えとは? ・継ぐべきはルールである ・会社を潰さないための4つのルールとは? ・後継者として必要な4つの資質とは? ・経営者の勘の継ぎ方 |
【後継者研修に関するおすすめスポット】
- 中小機構
- 後継者塾
- 後継経営者スクール2021
専門家だけに頼らない
事業承継を行う際に、専門家に依頼する企業がほとんどですが、すべてを専門家だけに頼らないようにしましょう。
事業承継士などの事業承継に長けているプロはまだ少なく、経験が浅い税理士や公認会計士も多いです。
また、専門家も人なので、見落としてしまうポイントが出てくる場合もあります。
経営者や後継者自身も勉強しておくことによって専門家の話の理解がしやすい上に、見落としなどを防ぐことが可能です。
【事業承継に強いおすすめ専門家】
- 税理士法人つばめ
- 近江清秀公認会計士税理士事務所
- 税理士法人TOTAL 新宿事務所
- 藤井優貴公認会計士・税理士事務所
- 小谷野税理士法人/小谷野公認会計士事務所
十分な期間を設けて準備を行う
事業承継を行う上で最も重要なポイントでは、十分な期間を設けて準備を進めるという点です。
入念な準備を行うことでトラブル回避や、万が一の事例に備えた対応ができます。
準備をしたからといって成功するとは限りませんが、失敗する可能性を極力抑えることができるでしょう。
【事業承継計画書作成支援を行ってくれるおすすめコンサルティング】
- 船井総研
- 山田コンサルティンググループ
- アタックス税理士法人
- しらかば綜合会計事務所
まとめ
事業承継を失敗してしまう企業はすくなくありません。
事業承継をしたのにも関わらず、廃業や解散してしまう企業も増えています。
入念な準備や知識を身につけて一つずつ課題への対策を行うことによって、失敗のリスクを回避できます。
事業承継を成功させるためにも、失敗しやすいポイントや成功させるためのコツをおさえて行動するようにしてください。
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(編集:創業手帳編集部)