後継者は借入金を引き継ぐのか
事業承継を行う際には、会社や株式が譲渡されるだけでなく、税金や借入金なども後継者が引き継ぐことになります。
そのため、資金を用意することが難しく、廃業を余儀なくさせられる中小企業も少なくありません。
もし、資金を工面することが難しく廃業もやむなしと悩んでいる経営者は、事業承継ローンという中小企業のための事業公的支援の活用をおすすめします。
今回は、事業承継を実行するためのローンを利用するメリットについてご紹介します。
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目次
事業承継を行うと借入金はどうなる?
法人事業として運営されている会社で現・経営者に借入金がある場合は、次期後継者が事業や株式などを引き継ぐと同時に借入金も引き継ぐことになります。
ただし、個人事業として運営されている会社を引き継ぐ場合は、借入金の名義は現・経営者個人となっているため、次期経営者が借入金の負担を引き継ぐ必要はありません。
事業承継ローンとは
事業承継の資金を融資してもらえるローンです。
各機関により、事業承継応援・事業承継サポート・事業承継支援ローンとなります。
事業承継ローンが存在する理由として、事業承継をする際には後継者に以下のような費用負担が発生するためです。
- 贈与税
- 相続税
- 株式の買取り資金
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 法人税
事業承継のやり方によって税金やコストは異なってきますが、事業承継には数百万円から数千万円ほどの費用がかかるケースがほとんどです。
借用金がある場合は、事業承継ローンを活用すれば膨大な出費を賄うことが可能ですが、事業承継ローンはあくまでも借入なので、いずれは返金しなければなりません。
ただし、事業承継するにあたり必要であると認められると、借入期間や利息が優遇される場合もあります。
事業承継ローンの種類
- 政府系に関するローン
- 一般金融機関におけるローン
事業承継ローンは、主に上記の2つが挙げられます。
これから、各事業承継ローンについて具体的に見ていきましょう。
政府系に関するローン
事業承継ローンの中でも有名なのが「事業承継・集約・活性化支援資金」で日本政策金融公庫が実施しています。
日本政策金融公庫は国が100%出資している金融機関で、会社を起業する時の資金調達、個人事業主や中小企業経営者の資金調達などに利用されるのが特徴です。
「事業承継・集約・活性化支援資金」を利用するには、様々な条件をクリアする必要がありますが、条件が一致すれば他の金融機関より優遇された貸付条件にて、ローンを組むことができる可能性があります。
一般金融機関におけるローン
信用金庫や銀行で用意されている、一般金融機関の事業承継ローンにおいても、以下の通り他の融資より比較的審査が通過しやすくなっています。
- 担保や保証人はない
- 不動産購入であれば20年以内の融資
- 5年・10年据置の期間あり
融資金額の返済期間や限度額・金利などは金融機関ごとに異なりますので、担当者に確認してください。
事業承継ローンのメリット
- 自費で支払う必要はない
- 新しい事業に挑戦できる資金を獲得
これから、事業承継ローンのメリットについて具体的に説明していきます。
自費で支払う必要はない
事業承継ローンを活用すると、事業承継で発生するコストを一括で支払う必要はありません。
分割払いが可能なので、資金がなくて困っている経営者におすすめです。
事業承継を行う上で必要となるコストを融資してもらい、納税などの支払いを済ませたうえで、約定した返済期間以内に分割返済することができます。
事業承継を検討しているけど、コスト不足で廃業せざるを得ないという状況に有効な方法です。
新しい事業に挑戦できる資金を獲得
事業承継ローンを活用すれば、事業承継を行った後に新しい事業を実施するための資金を獲得することが可能です。
例えば、以下のような場合に融資の対象となります。
- 新しい設備投資を希望している
- 新規事業を実行したい
上記のような場合にも融資の対象となりますが、資金の融資は金融機関によって異なるので注意してください。
事業承継ローン活用の注意点
- 最終的に費用が高くなる
- 申請直後に借入できるとは限らない
- 審査が確実に通るとは限らない
事業承継ローンを活用する注意点は、主に上記の3つになります。
これから、その注意点について具体的に解説していきます。
最終的に費用が高くなる
事業承継ローンを活用することで、会社を廃業することなく他の人に引き継ぐことはできますが、ローンを組むことで利息が発生するため、費用が高くなります。
そのため、事業承継に必要な費用を全額借入するのではなく、一部だけ借入する方が後に返却する金額も減るので融資額は最小限に抑えましょう。
申請直後に借入できるとは限らない
事業承継ローンは、どの金融機関で申請したとしても審査期間があるので、3週間~1ヶ月、もしくは2ヶ月ほど待たないといけません。
納税や事業承継に必要な支払いをする前に貸付契約を完了することができるように、前もって計画を立ててから申請を行ってください。
可能な限り早い段階から事業承継をスタートするための計画をすることで、比較的スムーズに後継者に会社を引き継ぐこともできるでしょう。
事業承継には税金や株式の譲渡など複雑な知識を必要とするシーンがあるため、税理士や弁護士などの専門家へ相談することもおすすめです。
審査が確実に通るとは限らない
事業承継ローンを申請したとしても、確実に審査が通るというわけではなく、様々な条件をクリアする必要があります。
- 金融機関からの借入返済に滞りがある
- カードローンなどから借入している状態
- 現在の経営状況や売上があまり良くない
- 今後の中長期計画が確かなものではない
上記のようなケースだと、その会社に返済能力がないと見做されてしまい、事業承継ローンを申請しても審査が通りにくい可能性が高いです。
万が一通らなかった時には、どうすれば良いかも検討するようにしましょう。
まとめ
今まで築き上げてきた事業やノウハウなどを維持していくためには、事業承継が必要ですが、様々なコストが発生するため、資金がない中小企業の経営者は、事業承継ローンを利用するのが増えています。
会社の未来を考え事業継承を行う場合、資金繰りが難しいようであれば、必要な資金を融資してもらえる事業承継ローンの活用も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
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(編集:創業手帳編集部)