事業承継するなら!まずは流れの把握・手続きを知ろう!
税理士や公認会計士・弁護士の中でも資産税や事業承継に詳しい人も少ないため、知識が豊富な専門家を選ぶのはもちろんですが、経営者や後継者自身も知識を身につけるのが望ましいです。
事業承継の手続きに関しては、どういった流れで行われるのかを把握しておくとわかりやすいでしょう。
どのような手続きが必要なのか、また事業承継を失敗しないためにおさえておくポイントなどを解説します。
起業家に有益な情報を徹底してお届けする「創業手帳」から、日本初の事業承継に特化したガイドブック「事業承継手帳(無料)」 が創刊されました!事業承継を検討する創業者の方、これから新社長になる方、事業承継に関わる士業の方などに有益なノウハウや最新情報をお届けしています。あわせてご活用ください。
目次
事業承継に必要な手続きは方向性や企業の状況によって変わる
1,000社の企業があれば事業承継も1,000通りあるといわれているほど、事業承継に必要な手続きは変わります。
事業承継でも、家族に事業・会社を承継してもらう親族内承継や、従業員に会社・事業を引き継いでもらう従業員承継(親族外承継)、投資家や他の経営者に合併・買収をしてもらうM&Aなどが存在します。
方向性によって必要な対応が異なるため、事業承継を考える上では「どのように会社を残したいのか」という「方向性を決める」ことが大切です。
【ケース別】事業承継時に必要な手続き
- 個人事業主の場合
- 個人保証がある場合
- 税金対策が必要な場合
- 後継者がいない場合
- M&Aを実施する場合
事業承継に必要な手続きをそれぞれ状況・方向性別に解説します。
個人事業主の場合
法人とは異なり、業用資産・債務を引き継ぐことで物的承継を行う形になります。
個人事業主が事業承継を行う場合は、廃業手続きをした後に、後継者に開業届を出してもらう必要があります。
個人事業主では屋号を使用している人も多いですが、屋号もそのまま引き継いでほしいと考えている場合には、開業届を提出する際に屋号の記入も行いましょう。
個人保証がある場合
個人保証とは、一般的に事業を始めるために金融機関から融資を受ける際に、経営者や親族が会社の保証人になることを指します。
個人保証を付けることで、金融機関は安心をして企業に対して融資をしてくれますが、事業承継はそのまま借り入れ・保証も付いてくるため、後継者の負担になるでしょう。
個人保証・借り入れがそのまま引き継がれるために、後継者にならないという人も少なくありません。
個人保証がついている場合は外してもらうよう、金融機関に申し入れを行いましょう。
税金対策が必要な場合
資産が多い個人や企業は、相続税や贈与税がかかります。
税金などの支払いは後継者の負担になりやすく、節税対策を行っていなかったことによって経営不振に陥り、承継後に廃業・解散をしてしまった企業も多いです。
税金対策をすることによって後継者が負担なく経営を行うことができるため、税金対策に関する手続きなども行っておくようにしましょう。
後継者がいない場合
親族内や企業に勤める従業員が会社を継いでくれる場合は問題ないのですが、後継者の適正者がいない状況で会社を残していきたい場合は、外部から探すことになります。
外部から探す場合には、事業承継マッチングサービスを利用すると、自社に適した後継者が見つかある可能性が高まります。
下記の事業承継マッチングサービスは多くの企業が後継者探しに利用していますので、参考にしてください。
【おすすめ事業承継マッチングサービス】
- 事業承継マッチング支援(日本政策金融公庫)
- TRANBI(トランビ)
- 事業承継総合センター
- ビズリーチ・サクシード
M&Aを実施する場合
M&Aとは合併&買収を指し、投資家や新しい事業を始めたいと考えている経営者に、経営権を譲る方法です。
経営者は売却益を得ることができるという点がメリットですが、M&A先もすぐに見つかるというものではありません。
M&Aを考えた場合は、事業承継同様にマッチングサービスに登録手続きを行い、慎重に交渉をしていくのがおすすめです。
【おすすめM&Aマッチングサービス】
- Batonz(バトンズ)
- M&Aナビ
- M&A PARK(M&Aパーク)
- M&A Cloud(M&Aクラウド)
事業承継で失敗しないためにおさえるべきポイントとは?
- 事業承継・M&Aに必要な知識を身につける
- 後継者の研修が必要
- 自社株を事前にまとめておくことが大切
上記の3つは事業承継を失敗しないために意識するのが好ましいポイントです。
事業承継・M&Aに必要な知識を身につける
事業承継やM&Aに失敗をしてしまい、残念ながら事業承継・M&A後に廃業・解散してしまった企業も少なくありません。
多くの企業が失敗してしまう原因に、知識が不足していることが挙げられます。
事業承継を行う際には専門的な知識が必要ですが、税理士や公認会計士の中でも詳しい人が少なく、良い人を探すのはもちろん、経営者や後継者自身も事業承継についての知識を身につけておくと、理解しやすいでしょう。
近年では、経営者や後継者にも役立ちやすい基礎知識や体験談のセミナーなどが行われていますので、参加をしてみるのもおすすめです。
後継者の研修が必要
事業承継を行う際には「後継者の研修」も意識しておきましょう。
「親族内での承継を行う企業」において、後継者の経営経験が少ない場合は、会社が不安定な状態に陥りやすい傾向があります。
会社を順調に経営していくためにも、後継者の研修や従業員・取引先との関係づくりが重要です。
自社株を事前にまとめておくことが大切
事業承継・M&Aが失敗してしまう企業では、自社株がまとまっていないというケースも少なくありません。
自社株がまとまっていない状態で事業承継を行ってしまうと、自社株が分散してしまい、トラブルに発展してしまいます。
自社株はなるべくまとめておくようにしてください。
事業承継を行うために必要な流れ
事業承継・M&Aを行う際にはしっかりとした計画を立てて、課題を解決しながら進めていく必要があります。
成功につながりやすい流れについて解説をしますので、参考にしてください。
STEP.1:方向性を決める
事業承継・M&Aを視野に入れている場合は、まず方向性を考えます。
事業承継では、親族内に後継者がいる企業もあれば、従業員が適正候補者である場合、また、違う企業に経営権を譲り、売却益を得ながら自社の事業を大きく発展してもらうM&Aもあります。
方向性によって次のやるべき行動が変わりますので、方向性や会社の現状・経営者の現状などを明確化しましょう。
STEP.2:事業承継に関する知識を身につける
方向性が決まった後は、経営者の基礎知識をつけてください。
すでに後継者が決まっている場合は、経営者と後継者の両人が、基礎知識を学ぶようにするのが好ましいです。
基礎知識を学ぶことによって計画書も作成しやすく、専門家の話も理解できるようになります。
セミナーへの参加や事業承継に関する本も複数出ていますので、理解できる範囲で覚えていくようにしましょう。
すべての内容を覚える必要はありませんが、ある程度の流れがわかれば専門家に相談した際にも、話がすすめやすくなります。
【参考になりやすいおすすめセミナー】
予定日 | 開催時間 | 開催予定場所 | セミナー内容 | |
---|---|---|---|---|
事業承継センター | 2021年4月27日(火) | 18時30分~20時30分 | オンラインセミナー | 大塚家具の事例から考える事業承継 |
事業承継センター | 2021年6月2日(水) | 14時00分~15時30分 | KCCIホール 会議室3 神奈川県川崎区駅前本町11-2 川崎フロンティアビル2階 |
・家族会議の在り方 ・後継者の見つけ方 ・手順や準備に必要なポイント ・引継ぎ方 |
ジャイロ綜合コンサルティング | 要問合せ | 要問合せ | 要問合せ | ・継ぐ側の心構え ・ルールの重要性 ・会社を潰さないための4つのルール ・後継者として必要な4つの資質 ・経営者の勘の継ぎ方 |
アタックスグループ | 2021年6月2日 | 13時30分~15時00分 | オンラインセミナー | ・全体像について ・引き継ぐための5つのステップ |
アタックスグループ | 2021年9月7日 | 13時30分~15時00分 | オンラインセミナー | ・絶対達成する後継社長の育て方 ・「絶対達成」させるべき経営目標 |
STEP.3:事業承継を行う上での計画書を作成
事業承継について勉強していると「計画書」の存在が出てきます。
計画書の作成は重要で、事業承継を進めるための基盤になりますが、作成が難しいと感じる場合は、作成支援を行っているコンサルティングを活用し、専門家の支援を受けるのもおすすめです。
【計画書作成支援を行ってくれるおすすめコンサルティング】
- 船井総研
- 山田コンサルティンググループ
- アタックス税理士法人
- しらかば綜合会計事務所
STEP.4:専門家に相談する
事業承継は専門的な知識が必要になり、素人ではなかなか難しいため、詳しい専門家に依頼をすることによって、成功率を高めることができます。
専門家に相談する際には、ただ事業承継に詳しい人ではなく、企業の様子などを親身になって話を聞いてくれる専門家を選ぶようにしましょう。
たとえ博識な専門家であっても話を聞いてもらえないと、企業の潜在的にある課題に気付けない場合もあります。
なるべくしっかりと相談に乗ってくれる専門家を探してください。
STEP.5:後継者・M&A先探し
後継者が不在な場合は、後継者・M&Aなどを探す必要が出てきます。
後継者やM&A先探しは、マッチングサービスの利用がおすすめですが、時間がかかる場合もあるため、余裕をもって早めに行動しましょう。
急いで後継者やM&A先を探してしまうと、入念な打ち合わせできずに、会社に合わない人物に譲り渡してしまう可能性が高くなるので注意してください。
STEP.6:関係者に周知
人とのつながりを大切にすることは会社を運営する上で重要なので「関係者への周知」もおこなってください。
特に気を付けていただきたいのが「親族に対する配慮」で、相続時などで配慮が足りない場合は他の親族から理解が得られず、トラブルに発展する企業も少なくありません。
もちろん親族だけでなく、従業員や取引先に対する配慮も必須です。
STEP.7:後継者の育成や株の集約
関係者への周知が終わった後は、後継者の育成や株の集約を実施します。
株の集約後は、事業承継に向けて少しずつ分配を行うのが好ましいです。
また、後継者を育成することで、経営者になるためのリーダーシップも身に付き、会社の雰囲気も良くなるでしょう。
ただし、後継者に事業承継を行った時が終わりではなく、始まりだと考えるのがおすすめです。
事業承継後に経営不振に陥り、倒産や解散をする企業も少なくないため、事業承継後からが本番だと考えましょう。
事業承継に強いおすすめの税理士事務所4選
- 税理士法人つばめ
- 新橋税理士法人
- 税理士法人チェスター
- 近江清秀公認会計士税理士事務所
上記の4箇所は、事業承継に強い頼りになる税理士事務所です。
所在地 | 電話番号 | ホームページ | |
---|---|---|---|
税理士法人つばめ | 東京都渋谷区渋谷2-10-15 エキスパートオフィス渋谷 |
メールにて連絡 | https://tsubametax.jp/ |
新橋税理士法人 | 東京都港区西新橋1-16-4 ノアックスビル2階 | 0120-130-201 | https://shinbashitax.tokyo/ |
税理士法人チェスター | 東京都中央区日本橋室町3-4-7 日本橋室町プラザビル10階 |
0120-888-145 | https://chester-tax.com/ |
近江清秀公認会計士税理士事務所 | 兵庫県神戸市中央区御幸通8丁目1−6 | 078-959-8522 | https://www.marlconsulting2.com/ |
それぞれの税理士事務所の特徴について解説をしていきますので、参考にしてください。
税理士法人つばめ
税理士法人つばめは東京都渋谷区にある税理士法人です。
500件以上の相続案件を経験した税理士が丁寧に対応してくれます。
生前の相続税対策にも詳しく、今まで培った知識や経験・ノウハウを活かした提案を行ってくれるため、会社に合った事業承継・相続税対策が可能です。
無料相談も行っていますので、事業承継について知りたい人やイメージの構築・方向性を決めたいと考えている人にもおすすめです。
新橋税理士法人
新橋税理士法人は東京都港区にある税理士法人で、東京都だけでなく埼玉県や静岡県も訪問可能エリアになっています。
さらに、遠隔での対応も行っており、中小企業庁が定める事業承継税制を活用した提案を行ってくれるため人気です。
他にも、所得税の確定申告書・消費税申告書等の作成から、税務署提出までの手続きを代行といった、多くの面でも頼りになる税理士法人です。
事業承継後に新しい事業を始めたいと考えた場合の資金調達サポートも行ってくれます。
税理士法人チェスター
税理士法人チェスターは事業承継に特に強い専門家として人気があり、多くの人から相談を受けています。
東京に本店がありますが、名古屋や大阪・福岡・横浜と全国各地に支店が存在し、足を運びやすい点も人気です。
全国の出張にも対応しているとともに、専門家が200名以上グループに在籍しています。
相談件数も圧倒的に多く、自社に合った専門家を探しやすいでしょう。
近江清秀公認会計士税理士事務所
近江清秀公認会計士税理士事務所は兵庫県にある税理士事務所で、事業承継だけでなく、資金調達にも長けている事務所として知られています。
「会計・税務」「相続・事業承継」「監査・コンサルティング」の3事業を主軸に中小企業の経営をサポートしており、それぞれの分野の専門家が対応してくれます。
事業承継に利用される信託にも詳しいため、様々な角度から会社に合った事業承継対策が知りたいと考えている企業にもおすすめです。
まとめ
事業承継を行う上では様々な手続きが存在し、また、多くのポイントを意識する必要があります。
事業承継に失敗している企業は知識や準備不足・専門家に頼り過ぎて十分な対応ができなかったケースがほとんどです。
しっかりとした計画書を立てて課題を解決しながら手続きなどを進めていくことが好ましいので、事業承継を行う際には向き合う時間を作り、少しずつ進めていくようにしましょう。
起業家に有益な情報を徹底してお届けする「創業手帳」から、日本初の事業承継に特化したガイドブック「事業承継手帳(無料)」 が創刊されました!事業承継を検討する創業者の方、これから新社長になる方、事業承継に関わる士業の方などに有益なノウハウや最新情報をお届けしています。あわせてご活用ください。
(編集:創業手帳編集部)