事業承継時は様々なリスク回避や課題対策が必要!

事業承継を円滑に進めるためには、5年から10年の中長期を目安とした計画の策定が必要です。さらに、相続に伴うリスクや税金対策などの課題を把握して解決方法を見つけていかなければなりません。

そこで今回は、事業承継時に発生しやすい課題やリスクを解説するとともに、課題ごとの解決方法やおすすめの相談先をご紹介していきます。

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事業承継時に発生する課題と潜在リスク


・後継者不在問題
・後継者の育成
・後継者と従業員の対立
・後継者と法定相続人との対立
・税金の支払いによる財務状況の悪化
・前経営者と後継者の対立
・負債や個人保証による経営リスク
・後継者の社会的信用
・専門家の選定
・準備不足

後継者不在問題

事業承継のタイミングを迎えた多くの中小企業を悩ませているのが、「後継者不在問題」です。

帝国データバンクのアンケート調査(※1)によると、2025年に70歳以上になる中小企業経営者245万人のうち、127万人が「後継者が決まっていない」と回答したことが明らかになっています。
(※1)参考:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/hikitugigl/2019/191107hikitugigl03_1.pdf

さらに、127万人のうち半数近くが、後継者不在が原因で「黒字廃業」の危機に瀕していると推測されています。

仮に、これらの企業がすべて廃業すると大量の失業者が発生するため、日本経済に大きな悪影響を及ぼすと言っても過言ではありません。

後継者の育成

経営者の子息や親族が会社を引き継ぐ「親族内承継」を行う場合は、後継者の育成方法について考える必要があります。

特に、若い子息には経営に必要な経験やスキルが不足しており、経営戦略や人事戦略・マネジメント戦略を習得するまでに長い時間がかかります。

近年では中小企業の後継者育成を支援するために、後継者育成セミナーや学習講座などが開催されているので積極的に活用すると良いでしょう。

後継者と従業員の対立

後継者と従業員の対立リスクについても対策が必要です。

後継者が従業員との良好な関係構築を怠ると、従業員の離職率が高まり企業活動が立ち行かなくなる恐れがあります。

後継者と法定相続人との対立

法定相続人が複数いる場合は、後継者と利害が対立して紛争が起きるリスクがあります。

後継者以外の法定相続人に対しても納得のいくように資産を分配しないと、後継者と法定相続人の間でトラブルが発生する可能性が高まります。

相続トラブルを避けるためには法定相続人を招集し、弁護士立会いのもとで話し合いを行うのが好ましいです。

税金の支払いによる財務状況の悪化

事業承継時には相続税や贈与税などが発生するため、十分な節税対策を行わないと高額な税金が発生してしまいます。

税金を支払った結果、経営状況が悪化して会社が存続できなくなったら元も子もありません。

最近は、納税資金や事業承継後の経営安定化を目的とした融資をしてくれる金融機関も増えています。

節税対策を行う時は税理士だけでなく、「事業承継支援ローン」を提供している金融機関に相談してみると良いでしょう。

前経営者と後継者の対立

前経営者と後継者の間にも対立リスクが存在します。

後継者には会社の経営権だけでなく、前経営者の意志や愛社精神を引き継ぐことが期待されるものですが、コミュニケーション不足や考え方の違いから経営方針を巡ってトラブルが起きる場合があります。

前経営者と後継者の対立を避けるためには、会社の経営方針などについてじっくり話し合う機会を設けると良いでしょう。

負債や個人保証による経営リスク

事業承継時は、借入金などの負債や前経営者の個人保証も後継者に引き継がれます。

特に、個人保証は後継者の負担になりやすいため、個人保証を解除するように金融機関に相談すると良いでしょう。

後継者の社会的信用

後継者の信用はそのまま会社の信用につながります。

後継者となる人物に社会的信用がないと金融機関からの融資が受けにくくなるため、経営に支障が出る恐れがあります。

後継者候補を選定する時は、候補者の信用リスクを調査しましょう。

専門家の選定

事業承継をスムーズに進めるためには、専門家の選定も重要になります。

顧問弁護士や顧問税理士と契約している企業は多くありますが、すべての弁護士や税理士が事業承継に詳しいわけではありません。

事業承継時に発生する課題やリスクに対して適切なアドバイスが欲しい時は、事業承継に関するノウハウや知識を豊富に持っている専門家に相談すると良いでしょう。

準備不足

準備不足のまま事業承継を進めると、事業の引継ぎに失敗する可能性が高まります。

事業承継時には様々なリスクや課題が発生するため、事業承継支援セミナーや講座などを活用して基礎的な知識を学習し、入念な準備を行うようにしましょう。

事業承継時に発生するリスクや課題解決をサポートしてくれるおすすめの相談先4選


・事業承継・引継ぎ支援センター
・M&A総合研究所
・税理士法人 山田&パートナーズ
・株式会社OAGコンサルティング

事業承継時に発生するリスクや課題解決をサポートしてくれるおすすめの相談先は、上記の4つです。

ここからは、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。

事業引継ぎ支援センター


「事業引継ぎ支援センター」は、経済産業省が所管する独立行政法人「中小機構」が運営している事業承継支援機関です。

全国各地に拠点があり、数々の事業承継を支援することで培ってきた豊富なノウハウを所有しています。

公式サイト上には事業承継に関する成功談が多数紹介されており、「事業引継ぎ支援センターから優秀な専門家や後継者を紹介してもらえた」という声が多く寄せられています。

M&A総合研究所


「M&A総合研究所」は、完全成功報酬型のM&A仲介会社です。事業承継やM&Aに関する情報発信も行っており、公式サイト上には初心者向けの解説コラムを掲載しています。

売り手企業は着手金や中間金の支払いが不要なため、希望の条件に適う買い手企業が現れるまで時間をかけて交渉することができます。

専門的な知識を持ったスタッフが丁寧にサポートしてくれるため、事業承継やM&Aの知識に自信がない経営者にもおすすめです。

税理士法人 山田&パートナーズ


「税理士法人 山田&パートナーズ」は、資産税に強い税理士法人として知られています。

相続税や贈与税などの税金対策だけでなく、事業承継コンサルティングやM&Aコンサルティングも行っており、公式サイト上には成功事例が多数紹介されています。

事業承継計画の策定や企業の現状分析などのきめ細かい支援をしてくれるため、手厚いサポートが受けられる相談先を探している経営者におすすめです。

株式会社OAGコンサルティング


「株式会社OAGコンサルティング」は、事業承継や企業再生支援などを幅広く手掛けるコンサルティング会社です。

顧客企業に合わせた丁寧なプランニングを行い、現状把握や株価対策、個人資産に関する相談などにも対応してくれます。

個別の事情に配慮した提案を行ってくれるため、細かな注文にも対応してくれるコンサルティング会社を探している方におすすめです。

まとめ


事業承継には様々な課題やリスクが付き物です。

課題やリスクへの対策をおろそかにすると、従業員の反発や相続トラブルなどに見舞われて事業承継が失敗するリスクが高まります。

会社を次世代に引き継ぐために、事前に課題やリスクを整理して専門家の力を借りながら効果的な対策を練るようにしましょう。

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(編集:創業手帳編集部)