事業承継は中小機構による支援がおすすめ!?
多くの経営者・後継者が難しいと感じている事業承継ですが、事業承継は内容が難しいだけでなく、どこに相談したらいいのかわからないという声も多く挙がっています。
税理士や弁護士に相談するという方法も存在しますが、相談先のひとつとして中小機構が運営する「事業承継・引継ぎ支援センター」を候補に入れるのもおすすめです。
当記事では、中小機構はどのような支援を行っているのか、支援内容や相談するメリットについて解説をしていきます。
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目次
中小機構とは?
中小機構は経産省傘下の独立行政法人です。正式名称は「中小企業基盤整備機構」で、中小企業の支援をメインに活動しています。
中小企業の経営者の役に立つようなたくさんの支援に取り組んでいますが、実際にはあまり知られておらず知名度が低いのが現状です。
事業承継の際には中小機構に相談をすることによって、国が実施している支援内容を把握できる上に、幅広いネットワークを活かした支援を受けることができます。
中小機構が行う事業承継支援内容は?
・事業承継/引継ぎ支援センターの管理
・ネットワークを活かした引継ぎ支援
・専門家派遣や情報発信/セミナー開催支援
中小機構は中小企業の経営支援だけでなく、事業承継に関する支援もたくさん行っています。
ここからは、具体的にどのような支援を行っているのかについて解説をしていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
事業承継・引継ぎ支援センターの管理
事業承継に関する中小機構の大きな仕事が、「事業承継・引継ぎ支援センター」の管理です。
事業承継・引継ぎ支援センターは2021年の4月に名称が変更されており、以前までは「事業引継ぎ支援センター」の名で活動していました。
事業承継・引継ぎ支援センターは47都道府県に存在するため、ほとんどの経営者が足を運びやすいというメリットがあります。
「どこに相談すれば良いかわからない」という人は、まず各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターへの相談を視野に入れてみましょう。
ネットワークを活かした引継ぎ支援
中小機構は、多くの経営者や買い手からの相談にのっているため、ネットワークを活かした後継者・M&A先紹介を受けることができます。
実際にWeb上で挙がっている事業承継に成功した体験談の中には、事業承継・引継ぎ支援センターに相談したことによって、丁寧なサポートを受けることができ、相性の良い後継者・M&A先が見つかったという声が多いようです。
金融機関・自治会・商工会議所などの公的機関とも連携をしているため、ネットワークの広さも申し分ありません。
専門家派遣や情報発信・セミナー開催支援
さらに中小機構では、事業承継に関する専門家の派遣をしてくれるとともに、事業承継時に役立つ情報発信やセミナー開催情報も教えてくれます。
中小機構の公式ホームページでも、情報発信やセミナーの開催情報をチェックすることは可能です。
税制や補助金に関する情報だけでなく、セミナーに関する情報も役に立つので、ぜひ中小機構の公式ホームページで確認をしてみてください。
▽中小機構公式ホームページ
https://www.smrj.go.jp/
中小機構が行う引継ぎ支援を受ける4つのメリット
・無料で相談ができる
・専門家によるアドバイス&サポートが受けられる
・譲受候補企業の紹介をしてもらえる
・事業承継や後継者育成に役立つセミナー/講習情報を把握できる
中小機構に相談するメリットとして、上記の4つが挙げられます。
続いては、それぞれのメリットについて解説をしていきますので、以下を参考にしてください。
無料で相談ができる
中小機構は、事業承継に関する専門的な知識を保有しているスタッフが多いですが、事業承継に関する相談も無料で対応してくれます。
税理士事務所や弁護士事務所・コンサルティング会社では、初回は無料であったとしても、それ以降の相談については料金がかかるというところも少なくありません。
その一方で中小機構は利益を目的としておらず、無料で相談することができるため、経営に負担をかからずに済みます。
専門家によるアドバイス&サポートが受けられる
中小機構では事業承継に関する相談だけでなく、事業承継に関する専門家の紹介や専門家による丁寧なアドバイス・支援を受けられます。
事業承継は1,000社あれば1,000通りあるといわれているほどで、各企業に合った対策が必要です。
中小機構は多くの中小企業と携わってきたノウハウ・知識を蓄積しているため、各企業に合った丁寧なアドバイスや事業承継支援・サポートを受けることができます。
譲受候補企業の紹介をしてもらえる
相談や丁寧なサポート・支援を受けることができますが、中小機構はさらにM&Aに関する譲受候補企業の紹介をしてもらうことも可能です。
後継者探しやM&A先探しも時間がかかる工程といわれており、半年から1年近くかかる企業も少なくありません。
各企業の希望する後継者・M&Aの条件を聞き出し、幅広いネットワークを活かしながら探してくれるため、多くの経営者におすすめです。
事業承継や後継者育成に役立つセミナー・講習情報を把握できる
さらに中小機構に相談するメリットでは事業承継だけでなく、承継後に重要な後継者育成などに関するセミナー・講習を知ることが可能です。
実際に2020年8月に帝国データバンクが、事業承継が終わっている企業に「事業承継で苦労したこと」についてのアンケートを取ったところ、下記のような結果が出ました。
【事業承継を行う上で苦労したこと 対象:3,719社 調査日:令和2年8月】
苦労したこと(複数回答あり) | |
---|---|
後継者の育成 | 48.3 |
相続税や贈与税等の税金対策 | 31.7 |
自社株などの資産の取り扱い | 30.5 |
後継者の決定・選定 | 28.2 |
後継者への権限の移譲 | 26.4 |
従業員の理解を得る | 25.5 |
将来性や魅力の向上 | 21.8 |
事業承継を行う上で必要な情報収集や知識の取得 | 20.4 |
経営者の個人保証や担保外し | 16.8 |
金融機関の理解 | 16.3 |
※参照:帝国データバンクによるアンケート調査
アンケート結果からもわかるように、半分近くの企業が「後継者の育成に苦労した」と回答しています。
後継者育成に関するセミナーやスクールは大きく役に立つため、中小機構から後継者育成に関するセミナーやスクール情報を教えてもらうのもおすすめです。
中小機構が出す事業承継に役立つおすすめの資料・様式
次は中小機構が出している、事業承継に役立つおすすめの資料や様式について解説していきます。
多くの経営者に役立つ資料になりますので、これから事業承継を始めようと考えている人はもちろん、すでに進めている人もぜひ参考にしてください。
中小企業経営者のための事業承継対策
「中小企業経営者のための事業承継対策」は、事業承継に関する基礎知識が解説されているハンドブックになります。
電子ブック形式にもなっており、直接Webで読むこともできますが、PDFファイルや印刷をして管理することも可能です。
主に、下記の内容が記載されています。
・中小企業の事業承継に対する現状
・早めに取り組む必要性
・事業承継の進め方
・方向性別のメリットやデメリット
・計画の策定方法
・事業承継に関する支援施策の紹介
・融資や税制/補助金について
・おすすめの相談先
経営者・後継者共に役立つパンフレットになるため、ぜひチェックしてみてください。
事業承継計画表様式
中小機構のホームページでは、事業承継に関する計画表の参考様式がダウンロード可能です。エクセル形式なので多くの人が確認しやすい上に、直接入力をして管理することができます。
10年を目安とした計画表で、事業計画や後継者の状況を確認しながら進めていくことが可能です。
専門家との相談時には、中小機構の様式を参考にしながら進めていくのもおすすめします。
▽ダウンロード先
https://www.smrj.go.jp/tool/supporter/succession1/index.html
相談前に行っておきたいポイント
・方向性の明確化
・経営者や会社の現状分析
・後継者の有無/選定状態
・資産の把握
中小機構や専門家に相談することは必須ですが、相談する前に考えておくべきポイントが存在します。
これから、どのような点を事前に考えておくべきなのか解説をしていきますので、ぜひチェックしてみてください。
方向性の明確化
まずは方向性を明確に定めておきましょう。
事業承継とひと言でいっても、子どもや親族に承継する「親族内承継」、従業員・第三者に承継する「従業員承継・親族外承継」、新しいビジネスに挑戦しようと考えている経営者に合併・買収してもらう「M&A」が存在します。
それぞれとるべき対策が変わってくるため、具体的にどのような形で事業・会社を残していきたいのかをはっきりさせましょう。
経営者や会社の現状分析
方向性の明確化とともに意識したいのが、経営者と会社の現状分析です。
事業承継は5年から10年を目安にして計画を考えていきますが、すべての企業がそれで正しいというわけではありません。経営者が高齢だったり持病を保有したりしている場合、急な体調不良によって状態が悪化し、急に話し合いが難しくなる場合もあります。
万が一の場合に備えた対策も必要になってくるため、経営者や会社についての分析はしっかりと行うようにしてください。
後継者の有無・選定状態
後継者の状況も視野に入れておくのが好ましいです。後継者がすでに決まっている場合は早めに育成に取り掛かることが可能です。
まだ決まっていない場合は後継者の選定から慎重に進めていく必要があるため、莫大な時間がかかることがあります。
資産の把握
資産の把握も事業承継を進めていく上で必須です。事業承継は会社の経営権だけでなく、正・負の資産もそのまま後継者が引き継ぐ形になります。
負の資産を多く保有していると、後継候補者から断られてしまう可能性が高いです。
また、引き継ぐ資産を把握しておかないと、相続時に想像を上回る税金の支払いが必要になる場合もあります。
まとめ
事業承継は、中小機構に相談することによって多くの支援を受けることができます。
公的機関などと連携をした幅広いネットワークを活かした支援を受けることができるため、頼りになる相談先です。
これから事業承継について考えていこうとしている経営者や後継者は、中小機構が運営する事業承継・引継ぎ支援センターに相談をしてみてください。
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(編集:創業手帳編集部)