事業承継は内容が複雑なので悩みを抱えやすい

事業承継を考えているものの、内容が難しすぎてためらっているという経営者も多いのではないでしょうか。

事業承継は専門家も少ないほど複雑かつ難しい内容ですが、ポイントをおさえて対策を練ることによって成功率を高めることが可能です。

多くの企業が抱えやすい悩みや課題と、それぞれの解決方法について解説をしていきます。

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事業承継を行って苦労したことは?


多くの経営者と後継者が、難しいと感じ悩みとなっている事業承継ですが、実際に行動にしたからこそわかるポイントもたくさん存在します。

帝国データバンクでは、事業承継を実施した企業を対象に「事業承継を行う上で苦労したこと・苦労しそうなこと」についてアンケート調査を行っています。

下記が実際にアンケート調査の結果です。

【事業承継を行う上で苦労したこと・苦労しそうなこと TOP10】

苦労しそうなこと(調査対象6,709社)
1 後継者の育成 48.3
2 後継者の決定 31.7
3 従業員の理解を得る 30.5
4 将来性や魅力の向上 28.2
5 自社株などの資産の取り扱い 26.4
6 相続税や贈与税などの税金対策 25.5
7 経営者の個人保証や担保外し 21.8
8 後継者への権限の移譲 20.4
9 必要な情報収集や知識の取得 16.8
10 事業承継に関する資金調達 19.2
苦労したこと(調査対象3,719社)
1 後継者の育成 55.4
2 相続税や贈与税などの税金対策 44.6
3 自社株などの資産の取り扱い 25.5
4 後継者の決定 22.3
5 後継者への権限の移譲 19.6
6 従業員の理解を得る 19.0
7 将来性や魅力の向上 17.9
8 必要な情報収集や知識の取得 17.9
9 経営者の個人保証や担保外し 内容16.1td>
10 金融機関の理解を得る 15.1

参照:帝国データバンクによるアンケート調査

上記の結果からもわかるように、後継者の育成に対して悩みを抱えている企業が多く、実際に事業承継を行っても苦労したと回答している企業が半数近くになります。

注目すべき点は、相続税や贈与税に関する税金対策で、実際に苦労したことの中では2位に輝くほど多くの経営者が挙げています。

苦労しそうなことと実際に苦労したことではズレがあるため、どの工程もきちんと対策を練って行動することが必要です。

事業承継に関する計画の有無の実態

事業・会社を残したいと考える場合、多くの企業が事業承継を実施していく必要がありますが、計画の有無について気になる人も多いのではないでしょうか。

事業承継の話を他企業とする機会はなかなか少ないですが、12,000社を対象に帝国データバンクによる調査結果が出ています。

下記が帝国データバンクによる調査結果です。

【事業承継に関する計画の有無の実態 対象12,000社】

計画があり進めている 計画はあるが進めていない 計画はない 既に終えている 分からない
全体 18.7% 21.1% 34.8% 12.3% 13.1%
最優先の問題と認識 46.0% 27.5% 13.5% 10.3% 2.6%
経営上の問題の一つと認識 20.4% 29.8% 34.3% 9.6% 6.0%
問題として認識していない 8.4% 5.8% 56.0% 23.5% 6.4%

参照:帝国データバンクによるアンケート調査

結果をご覧いただいてもわかるように、最優先の問題だと認識をしていても事業承継が進んでいる企業は5割~6割程度で、経営上の一つの問題と捉えていても計画がない・進んでいない企業も半分以上を超えています。

データから、いかに事業承継について進んでいる企業が少ないことがわかるでしょう。

多くの経営者が悩みやすいポイント①計画書の作成方法・期間の目安がわからない


事業承継で多くの経営者が悩みやすいポイントは、計画書の作成方法や期間の目安が分からないという点です。

事業承継を成功させるためには、計画書の作成が必須です。

しかし、経験したことがない上に様々な課題を解決していく必要があるため、どのくらいの頻度でクリアできるのかわからないという声も多く挙がっています。

解決方法

計画書の作成方法が分からないという悩みを抱えている場合は、中小企業庁が出している「事業承継ガイドライン」を参考にするようにしましょう。

ガイドラインでは事業承継に携わる知識などが豊富に記載されており、成功させるためのコツなどの他に、最後のページでは事業承継計画策定に役立つテンプレートも載っています。

計画の策定を行っているコンサルティング会社も登場していますので、慎重に進めたい場合はコンサルティング会社に依頼をするのもおすすめです。

作成期間ですが、5年から10年を目安にして計画表を作るようにしましょう。

多くの経営者が悩みやすいポイント②後継者問題


日本は2025年問題が迫っており、労働生産性が大幅に低下すると考えられています。

2025年には、団塊世代の経営者が70歳を超えるため、中小企業の245万人中127万人が後継者未定だと結果で出ているのです。

子どもや親族がいたとしても、必ず後継者になってくれるというわけではなく、また、後継者になる意思はあっても適正者であるとは限りません。

後継者という観点だけでも様々な課題が存在します。

解決方法

後継者がいないことで悩みを抱えている場合は、後継者やM&A先探しで役立つマッチングサービスの利用がおすすめになります。

マッチングサービスでは、事業を引き継ぎたい個人や新しいビジネスを始めたいと考えている経営者と出会うことができるため、希望する後継者・経営者に出会える可能性が高いです。

もちろん後継者やM&A先探しを見つけるのには時間がかかりますが、時間をかけることで納得のいく人物を後継者にできるでしょう。

後継者が決まった後は、後継者の育成も行うようにしてください。

多くの後継者は会社勤めの経験があっても、経営経験や人事戦略に関する知識が乏しい場合が多いです。

近年では悩み解消のために、後継者を育成するためのセミナーやスクールが開催されていますので、参加するのもおすすめします。

多くの経営者が悩みやすいポイント③相談できる相手がいない


他にも挙げられる経営者の悩みは、相談相手がいないという点です。

事業承継は多くの企業が考えなくてはいけない問題ですが、他の企業と話す機会は少ないです。

他の企業の状況がわからないと、本当に今のままで大丈夫なのか不安を感じる人も少なくありません。

顧問弁護士や税理士がいると担当者に相談できますが、いない場合は相談しながら事業承継を進めることが可能な専門家を探す必要があります。

解決方法

相談できる相手がいないという悩みを抱えている企業は、事業承継に強い税理士などを探すチャンスです。

多くの企業は顧問弁護士や専属税理士に依頼をして話を進めますが、すべての税理士・弁護士・会計士が事業承継に詳しいというわけではありません。

実際に弁護士や税理士・会計士は事業承継に関する「事業承継士」の資格を保有する人はごくわずかです。

事業承継に関する相談はノウハウや知識を持った人に依頼をするのが好ましいため、なるべく最寄りの詳しい専門家がいる場所に相談するのがおすすめになります。

また、金融機関でも事業承継プランナー・アドバイザーやM&Aエキスパートの資格を持っている人もいるので、利用している金融機関に相談をしてみるのもよいでしょう。

多くの経営者が悩みやすいポイント④何から始めたらいいかわからない

事業承継を前経営者とともに行ったという経験者はごくわずかなため、何を始めたらいいのか分からないという声も多いです。

事業承継では様々なことを行う必要があるため、やることが多すぎて何から手を付けたらいいかわからずに悩む経営者もたくさんいます。

解決方法

やることがわからないという悩みを抱えている場合は、まずは事業承継の方向性を決めるようにしましょう。

事業承継には、親族内や従業員に承継する・外部から探す方法などが存在します。

方向性によって贈与税の対策を行うべきなのか、相続税の対策を行うべきなのか変わります。

できれば経営者と後継者で、会社の現状把握を行うようにしましょう。

現状把握を行うことによって、専門家に相談する際にスムーズに物事が進みやすいです。

多くの経営者が悩みやすいポイント⑤内容が難しい


事業承継は内容が難しすぎると、多くの経営者・後継者が悩んでいます。

しかし、内容が難しいからといってすべてを覚える必要はなく、専門家や後継者・経営者が協力し合って進めていくことで円滑に実施できます。

解決方法

事業承継を成功させるためには、後継者や経営者共に事業承継に関する知識を身につけるのが好ましいです。

知識を身につける手段は、参考書やセミナーに参加して体験談などの話を聞くのがおすすめになります。

専門家に相談しようと考えている場合の注意点


専門家に悩みを相談する際には、注意点が存在します。

途中でも触れているように、税理士や弁護士などでも事業承継に詳しい専門家はごくわずかです。

そのため、事業承継の支援経験がある専門家・相談先を選ぶようにしてください。

まとめ

多くの企業が悩みを抱える事業承継ですが、成功させるためには一つひとつ課題や悩みを解決しながら進めるのが好ましいです。

もし悩みが発生したらそのまま進めたりせず、専門家に相談すると失敗率を防ぎやすいです。

マッチング支援サービスや税理士法人・各公共機関でも事業承継に関する悩み相談を受け付けていますので、気軽に相談してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)