事業承継で登記が必要なケースがある
事業承継を実行する場合、「登記」が必要か不要かは引き継ぎ内容によって異なりますが、登記が必要となる場合は、専門的な書類作成が必須となりますので、ぜひ事前に知っておくようにしましょう。
本記事では、事業承継と登記の関連性や、登記の意義と役割について解説していきます。
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目次
事業承継では登記が必要?
すでにご存じの方もいらっしゃるとは思いますが、「登記」とは会社情報を法務局の「商業登記簿」に記載することで、この手続きを行わなければ会社としては認められません。
では、事業承継と登記には一体どのような関係があるのでしょうか。
事業承継で必要となる登記の種類
・商業登記
・不動産登記
以下では上記2点の登記について具体的に見ていきましょう。
商業登記
事業承継に伴い、会社運営や組織編制を変更することがしばしばあります。その際には、先代の時代に登録していた登記情報も同様に変更する必要があります。
次の用件に該当する場合は登記が必須ですので、確かめてみましょう。
・新しい会社を設立する場合には「設立登記」
・監査役や取締役などに変更には「役員変更登記」
・本店を移転する際には「本店移転登記」
・減資や増資の際には「資本金変更登記」
・会社合併には「合併登記」
・会社分割には「分割登記」
・会社を解散する際には「解散登記」
その他にも、商号を変更する場合にも商業登記が必要です。M&Aによる事業承継もまた、自社株の売買や会社分割に伴って商業登記を要求されますので、詳しくは仲介業者の専任アドバイザーや行政書士に相談してみてください。
不動産登記
事業承継は、会社の所有している不動産の取り扱いにも注意しなければなりません。その際には必ず、不動産登記が絡んできますので、忘れずに手続きをするようにしましょう。
・建物を新築する際には「所有権保存登記」
・土地の売買や贈与には「所有権移転登記」
・土地所有者に相続がある場合は「所有権移転登記または相続登記」
・不動産所有者の氏名や住所の変更は「登記名義人表示変更登記」
・不動産を担保として提供する際は「抵当権設定登記または根抵当権設定登記」
・各担保権が消滅する場合は「抵当権抹消登記または根抵当権抹消登記」
免責の登記とは?
会社法の定めるところにより、事業を引き継いだ承継者が先代の商号および屋号を使い続ける場合は、先代の事業運営によって生じた債務も一緒に引き継ぐ義務を負うことになります。
しかし「後継者には負担をかけたくない」「自分の代でつくった債務は自分で完結させる」というのであれば、「免責の登記」を行うことで、後継者が債務を負わずに済みます。
免責の登記に関しては、事業承継を行う前に、必ず先代と後継者が話し合っておくようにしましょう。
なぜなら、免責の登記のことを知らなかったために、後継者が不本意に債務の弁済責任を負わされてしまうことになるからです。訴訟問題にも発展し得る重大なトラブルを招きかねませんので、弁護士などを介してしっかり対応しておくことをおすすめします。
まとめ
事業承継の大半は、書類手続き作業が占めています。その際に、ほとんどの経営者が取り組まなければならないのが、登記手続きです。
事業承継に伴う登記手続きは、単に会社情報を変更するだけではありません。免責の登記のように、債務責任の帰属をめぐって先代と後継者がお互いに納得と了解を得なければならないケースが多々あります。
不要なトラブルを避けるためにも、これから事業承継を始めようと考えている経営者の方は、必ず弁護士や法務局に登記について相談しておきましょう。
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