事業承継を実行している中小企業の現状

日本国内に数多くある企業の中で大企業は1%にしか満たないため、主に中小企業が日本経済を支えている状態となっています。

しかし、中小企業庁が調査して集約したデータでは、中小企業の経営者には高齢者が増えているため、会社を維持していくことが困難になってきているのが現状です。

経営者の高齢化が進行すると事業承継を実行することも難しくなるため、中小企業の現在の経営者は現状の課題点を早急に洗い出す必要があります。

そこで今回は、中小企業の経営者が事業承継を行う方法やM&A(合併/買収)を選ぶメリットについてご紹介します。

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事業承継でM&Aを選ぶメリットとは

  • 株主が売却益を獲得
  • 譲渡先により承継後の事業拡大も可能
  • 従業員の雇用を守れる可能性
  • 経営者が個人保証や担保を提供する必要はない

事業承継を行う際に会社の合併や買収を意味するM&Aを選ぶメリットは、主に上記の4点が挙げられます。

中小企業の後継者が内部の従業員や親族に限定されている承継方法とは異なり、M&Aは社外の人を次期経営者にできるので選択肢が大幅に広がるのがメリットです。

また、M&Aで次期経営者を見つけることができれば、会社の引き継ぎはもちろん、探す手間もなくなり時間のロスにつながるでしょう。

なお、M&Aでの事業承継は、経営者が円満退職を目指せる方法でもあります。

最近ではM&Aに詳しい専門家も多くいるので、相談しやすい状況であることもメリットです。

中小企業による事業承継の問題点

  • 適した後継者がいない
  • 後継者の育成が不足している
  • ワンマン経営で意思決定が遅い
  • 相談者がいない
  • 承継時の経営状態が不安

適した後継者がいない

中小企業が事業承継を行う際に、適した後継者が見つからないのが問題点です。

社内や親族に事業の経営者として相応しい後継者がいない場合には、社内以外から後継者を見つける必要があるため、時間がかかるでしょう。

中小企業にとって後継者がいないという状況は、事業承継する機会がなくなるというリスクもあるため、死活問題になりかねません。

後継者の育成が不足している

中小企業の経営者が事業承継を進めるにあたり、多くの知識やスキルを後継者に伝えなければなりません。

後継者の育成には約5~10年かかるとされており、経営者が高齢の域に差し掛かかる手前や健康であるうちに、後継者を見つけ、十分な育成を行うようにしましょう。

ワンマン経営で意思決定が遅い

中小企業では、経営者一人によるワンマン経営になっている場合も多いです。

ワンマン経営を行ってきた経営者はリーダーシップ力はありますが、もし病気などで倒れてしまった場合には、従業員に決定権がないため会社の意思決定が遅れ困難を招いてしまう可能性もあります。

意思決定が遅れてしまうことは深刻な問題で、事業承継が進行していないまま経営者が死亡してしまった場合には、経営が苦しくなってしまうでしょう。

相談者がいない

専門家や事業承継について知識がある相談者からアドバイスを得られない場合は、思うように事業の引き継ぎを行うことが困難になり、廃業を余儀なくされる場合もあります。

相談者がいない場合には、知識を持った専門家に相談すると、事業承継をスムーズに実行することができるでしょう。

承継時の経営状態が不安

会社の事業に適した後継者を見つけることができても、その候補者が決断しないと事業承継は思うように進行しません

例えば、経営面での問題や会社の未来に不安があると、引継ぎを拒否される場合もあります。

事業承継問題の解決策

  • 複数の選択肢を準備する
  • 早急な準備が必要
  • 従業員や相続人を配慮
  • 経営状態や財務状態を明確化する

複数の選択肢を準備しておく

会社の後継は社内の従業員か、もしくは経営者の親族が承継するのが一般的ですが、万が一のことを鑑みて複数の選択肢を考えておくと、事業承継の様々な問題を解決することができるためおすすめです。

社内や親族に適した人物がいない場合には、親族外承継や M&Aに着目すれば問題を解決できるかもしれません。

早急な準備が必要

事業承継は申請してから審査が通過するまでに時間がかかることもあるので、なるべく早急に準備するのがよいでしょう。

事業承継には、数年単位の期間がかかってしまうため、問題が発生したときには間に合わず、結果的に廃業するということにもなりかねません。

しかし、早めに事業承継の準備にとりかかっていれば、後継者の発掘や育成だけでなく会社の体制も整えることができます。

従業員や相続人を配慮

事業承継を実行する上で従業員との間でトラブルを防止するためには、客観的に後継者を確定するということが必要です。

場合によっては第3者の意見も聞き入れながら、経営者としての能力や会社のトップに立てるだけのスキルがあるかどうかなどを見極めるようにしましょう。

経営状態や財務状態を明確化する

会社の後継者となる人の不安を解消するためには、財務状態や経営状態を明確にしましょう。

財務諸表などを事前に作っておき、会社の経営状態を見える化しておくことで、後継者は安心して事業を引き継ぐことができます。

また、資金繰り表などを作成することは後継者を安心させるだけでなく、金融機関と良好な関係づくりを築くことにも役に立つのでおすすめです。

まとめ

中小企業が事業承継を実行する際には様々な問題点が発生し、いずれも企業にとって死活問題となる可能性があります。

問題解決の対応が遅れてしまうと、事業承継が上手く行かないでしょう。

そのようなことにならないように、事業承継の準備を早めに行い、専門家や知識が豊富なアドバイザーに相談するのがおすすめです。

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(編集:創業手帳編集部)