事業承継対策として不動産が脚光を浴びている!?
経営者の多くは、「今まで頑張って経営してきた会社を残したい」と考えるのではないでしょうか。
後継者に託し、「会社の発展を見ながら余生を過ごそう」と思っている人もいるかもしれません。
しかし、後継者に会社を託す事業承継には多くの課題があるため、悩みを抱えている経営者も多いです。
事業承継の課題は、不動産を活用することで解決できることがあります。具体的な対策や注意点、おすすめの相談機関などについて解説します。
起業家に有益な情報を徹底してお届けする「創業手帳」から、日本初の事業承継に特化したガイドブック「事業承継手帳(無料)」 が創刊されました!事業承継を検討する創業者の方、これから新社長になる方、事業承継に関わる士業の方などに有益なノウハウや最新情報をお届けしています。あわせてご活用ください。
目次
事業承継とは?
事業承継とは、後継者に会社の経営権や資産、会社に対する想いを引き継いでもらうことです。
事業承継に挑戦する企業は多いものの失敗する企業も少なくないため、しっかりと対策・準備を行った上で取り組むことをおすすめします。
事業を後継者に譲ることによって贈与税や相続税などの税金が発生するため、節税対策も考える必要があります。
また、適正な後継者を選ばないと承継後に経営不振に陥り、倒産・廃業してしまうおそれがあるため注意が必要です。
事業承継では考えなければならないことは多岐にわたるため、専門家と二人三脚で進めていくと良いでしょう。
なぜ不動産で事業承継対策ができる?
なぜ不動産で事業承継時の課題対策ができるのか、気になるのではないでしょうか。
不動産は資産の一種ですが、購入する際に多額の資金が必要になるため、個人や会社が所有する現金を大幅に減らすことができます。
事業承継では相続税や贈与税が発生し、その支払いに窮する企業も少なくありません。
不動産を購入することで現金が減り、相続税や贈与税を抑えられるため、現金を多く保有している人におすすめの対策です。
不動産を活用した事業承継対策
・不動産の購入
・評価見直しによる節税対策
・自社株評価の引き下げ
・設備投資にかかる費用
不動産を活用した事業承継対策として、上記の4つが挙げられます。
それぞれについて詳しく解説しますので、参考にしてください。
不動産の購入
不動産の購入は、節税対策として行われるケースもあります。
ただし、不動産を購入する際には、所有している資産の範囲内に収めるようにしてください。
資産額を超える不動産を購入する場合は銀行から融資してもらう必要があるため、経営を圧迫するおそれがあるからです。
節税対策によって経営が苦しくなってしまっては本末転倒なので、自己資金で購入できる不動産を選びましょう。
評価見直しによる節税対策
不動産には評価額があり、立地が良い場所にある不動産は資産価値が高いと言えます。
所有する不動産の状況にもよりますが、不動産鑑定士などに評価調査を依頼して、所有不動産の評価が下がっていれば税金も抑えられます。
不動産は評価額が大きいため、大きな節税効果を期待できます。
自社株評価の引き下げ
不動産を取得して3年以上経過している必要がありますが、自社株評価を引き下げられることがあります。
不動産の評価額は路線価や固定資産税評価額から求められるため、時価よりも低い金額で不動産価格を計上できることがあるからです。
評価の低い資産を保有していると自社株の評価も下がるので、多くの企業におすすめします。
設備投資にかかる費用
資産を減らすために設備投資を行う人もいます。
設備投資は微調整がしやすく、「不動産を購入できる資金はないが、節税対策はしっかり行いたい」という場合に適しています。
現金はその金額が評価額になりますが、設備投資を行うことによって資産評価を下げることができます。
事業承継対策で不動産を購入する際の注意点
・購入する不動産や土地の評価の変動
・借り入れは後継者に引き継がれる
上記の2つは、不動産を購入する際の注意点です。不動産による事業承継対策を視野に入れている場合は重要になるため、注意点をしっかりチェックしておきましょう。
購入する不動産・土地評価の変動
不動産を購入することによって資産評価を下げることができますが、評価が高い不動産を購入した場合や、購入した不動産の評価が一気に高まった場合は注意が必要です。
土地の評価が高まると、総資産も高額になります。
節税対策で土地を購入していても、評価が上がった分の税金が発生するため、不動産評価の変動は注意しましょう。
特に、購入後3年以内の不動産は時価で評価されるので、変動を受けやすいため注意が必要です。
借り入れは後継者に引き継がれる
不動産を購入する際、借り入れを起こすことによっても節税効果が可能ですが、借り入れもそのまま後継者に引き継がれるため、後継候補者から嫌がられる可能性があります。
実際、後継者に事業の承継を断られた理由が「借り入れや個人保証も引き継がれるのが嫌だ」というところも多いようです。
後継者不在問題に悩む企業は多いため、借り入れを起こす場合は後継者としっかり話し合った上で行うことをおすすめします。
不動産購入と併せて知っておきたい対策
・事業承継税制の特例
・新規事業に対する補助金
・生前贈与の活用
不動産を購入することで事業承継対策ができますが、事業承継を行う際は税制や補助金なども利用することをおすすめします。
ここからは税制や補助金、生前贈与の活用について解説しますので、参考にしてください。
事業承継税制の特例
事業承継税制とは、相続税や贈与税などの支払いを猶予・免除してくれる制度です。
平成21年に始まった制度ですが利用する人が少なかったため、平成30年に特例が設けられました。
中小企業であることや経営者・後継者に関する条件、継続年数などの条件がありますが、税金の支払いによる経営圧迫が起こらないため、事業承継後に経営不振に陥ることを防ぐことができます。
適用されるための条件は複雑なので、専門家に相談した上で利用すると良いでしょう。
新規事業に対する補助金
事業承継は国全体の問題として注目されており、事業承継を促すために様々な施策・補助金があります。
その中でも特におすすめしたいのが、承継後に新しい事業・ビジネスに挑戦しようと考えている企業に対して給付される補助金です。
採択率は60~80%程度ですが、新しいビジネスを始める上で発生する経費の一部を負担してくれるため、新規事業に挑戦しやすいでしょう。
生前贈与の活用
長期的な視点で行動する必要がありますが、生前贈与の活用も多くの人におすすめです。
生前贈与は経営者が元気なうちに後継者に対して贈与する方法ですが、毎年110万円以下に収めると贈与税が発生しません。
1年に110万円以下なので、10年でも1,100万円程度の資産しか贈与できませんが、資産を減らせる上に税金がかからないため、多くの企業が利用しています。
事業承継に関する相談先としておすすめの機関
事業承継は内容が難しいこともあり、多くの経験を持つ専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
どのような機関に相談するのが良いか解説しますので、参考にしてください。
事業引継ぎ相談窓口・事業引継ぎ支援センター
事業承継に関する相談をしやすいのが、事業引継ぎ支援センターです。
中小企業庁が設置する公的機関で、全国各地に設置されています。
事業承継を専門としているため、豊富な知識を持っている人からアドバイス・支援を受けられます。
商工会議所
商工会議所は、経営者向けに様々なサポートを行っています。
商工会議所に入会する必要がありますが、入会することによって多くのサービスを無料で受けることが可能です。
事業承継に詳しい中小企業診断士のアドバイスを受けたり、経営指導員による訪問相談を受けたりすることもできます。
弁護士や行政書士
最近は、弁護士や行政書士の中にも事業承継に関する専門知識を持つ人が増えています。
近年は様々な案件を扱えるように、弁護士や行政書士も多種多様な資格を取得しており、幅広い業務を行っています。
専門家ならではの観点で支援してくれるため、多くの企業におすすめです。
公認会計士や税理士
多くの企業が相談をしているのが、公認会計士・税理士です。
公認会計士・税理士の中でも、特に資産税に強い専門家に依頼をするのがおすすめです。
事業承継に詳しい税理士も増えているため、税理士法人の中から相談先を探してみるのも良いでしょう。
M&A仲介業者やM&Aコンサルティング会社
事業承継でM&Aを考えている場合は、仲介業者やコンサルティング会社に依頼をするのがおすすめです。
仲介業者やコンサルティング会社では経験豊富なスタッフが対応してくれるため、M&A先が見つかりやすいでしょう。
また事業承継に関する知識・ノウハウが豊富なので、自社に合った支援・アドバイスを受けられます。
まとめ
事業承継時の節税対策では生命保険の活用が注目されることが多いのですが、不動産の活用もおすすめです。
注意点を把握した上で不動産を購入することで、資産を減らすことができ、節税につながります。
事業承継時に発生する税金対策を考えている人は、不動産の活用も検討してはいかがでしょうか。
起業家に有益な情報を徹底してお届けする「創業手帳」から、日本初の事業承継に特化したガイドブック「事業承継手帳(無料)」 が創刊されました!事業承継を検討する創業者の方、これから新社長になる方、事業承継に関わる士業の方などに有益なノウハウや最新情報をお届けしています。あわせてご活用ください。