事業承継で廃業を回避する方法を徹底解説!

中小企業では多くの経営者が高齢になっていることにより、事業を次の世代に引き継ぐ事業承継が盛んに行われています。

しかし、経営者の親族や社内の役員・従業員の中に後継者が見つからず、結果的に廃業してしまう中小企業も少なくありません。

事業を廃業するとなると多額のコストがかかることがあるため、特に資金繰りが厳しい中小企業は、できれば廃業だけは避けたいでしょう。

そこで今回は、事業承継の定義と廃業を回避するためのポイントについてご紹介します。

 

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事業承継の定義とは?

中小企業において盛んに行われている事業承継ですが、事業承継に定義はあるのでしょうか。

中小企業庁が発行している『中小企業白書』によると、事業承継に明確な定義はないようです。

事業承継には親族内承継、役員や従業員などに引き継ぐ親族外承継、M&Aという方法があります。

 

中小企業が抱える事業承継問題

2019年に帝国データバンクが行った「全国の後継者不在企業動向調査」によると、国内の約27万5,000社の中小企業における後継者不在率が65.2%に達しています。

2011年以降での調査では最も低い数値となりましたが、それでも半数を大きく超えており、中小企業の後継者問題は深刻であることがわかります。

ただし、65.2%の中には現経営者が若く、まだ後継者を必要としてない企業も含まれています。

これまでの事業承継は親族内承継が一般的でしたが、少子化や仕事観の多様化などによって近年は親族内承継が減少しています。

一方で、M&Aによって他社に買い取ってもらう形で事業を承継し、事業を継続できるケースが増えています。

 

事業承継の種類

① 親族内での事業承継
② 社内での事業承継
③ M&Aでの事業承継

事業承継の主な方法は、上記の3点です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

① 親族内での事業承継

経営者の子どもなどの親族に事業を引き継ぐ方法は、親族内継承と呼ばれています。

親族内承継は、子どもや親族が多い場合は比較的後継者が決まりやすいことと、財産を承継をする場合は相続や贈与などの承継方法が用意されていることがメリットです。

しかし、親族が事業を引き継ぎたいとは限りませんし、その人が経営者としての資質がなかったり教育がなされていなかったりした場合は、すぐに事業を承継できないというデメリットもあります。

社内での事業承継

社内事業承継は親族外承継とも言い、会社の役員や従業員の中から後継者を選び、教育した上で事業を承継をする方法です。

社内での事業承継は、事業に長年携わっている役員や従業員が後継者になるため、ノウハウや経験があることから比較的スムーズに事業を承継できるというメリットがあります。

また、後継者になるための教育期間が短くて済むので、事業承継の期間も通常よりは短くなるでしょう。

一方で、役員や従業員は株式の取得資金が用意できないケースが少なくないため、注意が必要です。

M&Aでの事業承継

親族内承継、親族外承継の他に、M&Aによって事業や会社を売却し、他社に事業を引き継いでもらう方法もあります。

M&Aによる事業承継は従業員の雇用が継続され、買い手側の技術やノウハウによって、これまで築き上げてきた事業がさらに発展する可能性があることがメリットです。

一方でM&Aによる事業承継は、税務上のリスクが伴う、自社が希望する条件に合う買い手が見つかりにくいといったデメリットもあります。

 

事業承継を成功させるためのポイント

① なるべく早めに準備する

② 後継者の教育を徹底する

③ 税金対策を考える

④ 資金を集める

事業承継を成功させるためのポイントは、上記の4点です。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

① なるべく早めに準備する

事業承継において後継者を育て上げるのに5~10年はかかると言われているので、なるべく早めに事業承継の準備をしておく必要があります。

中小企業においては経営者が高齢になってから事業承継を決意するケースが多いのですが、現経営者が元気なうちに退任できるような事業承継計画を立てて準備しましょう。

あわてて事業承継を行うと失敗しやすくなるので、税理士や弁護士などの専門家に相談しながら早めに準備を進めていくと良いでしょう。

② 後継者の教育を徹底する

事業承継をトラブルなく成功させるためには、後継者の教育を徹底する必要があります。

現経営者は代表者としての業務に追われているため、その間に後継者の教育を行うのは負担かもしれません。

しかし、教育の手を抜くと事業承継が失敗してしまうので、すべてを1人で抱え込まず、役員や従業員の協力を得ながら後継者の教育をしっかり行いましょう。

③ 税金対策を考える

事業承継では税金が発生することがありますが、その税金を現経営者が負担するケースと後継者が負担するケースがあります。

後継者が負担する税金は相続税または贈与税で、他社の株式を譲渡された場合はそれを売却することで納税資金を得ることができますが、自社株を売却することはできないので、事業を承継する際は十分な資金を用意しなければなりません。

税金対策には専門的で複雑な手続きが伴うため、税理士や会計士などに節税対策を相談しながら進めてください。

後継者に課される贈与税や相続税が猶予される『事業承継税制』の活用も検討すると良いでしょう。

④ 資金を集める

後継者に事業を引き継ぐために多額の資金が必要になることがあるので、なるべく早く資金集めを始めるべきです。

例えば、事業承継を行う前に新商品やサービスを拡大したい場合は多額の費用がかかりますが、後継者に負担がかからないように現経営者が資金集めをしなければなりません。

資金集めは、国が推進している『事業承継補助金』と『経営資源引継ぎ補助金』という補助金を活用することをおすすめします。

事業承継補助金は、事業承継を機に事業転換や経営革新を行いたい中小企業を対象とした補助金制度です。

経営資源引継ぎ補助金は、2020年から猛威を奮っている新型コロナウイルスを受けて設けられた補助金制度で、M&A補助金制度とも言います。

 

まとめ

事業承継の定義は法律では定められてはいませんが、親族内継承と親族外承継、そしてM&Aによる事業承継があります。

近年は少子化や仕事観の多様化などによって後継者問題が深刻化しているため、中小企業においてはM&Aによる事業承継が盛んに行われています。

しかし、税金対策や株式譲渡など専門的で複雑な手続きが発生するので、なるべく早い段階で事業承継計画を立て、国が推進している制度を積極的に活用しながら事業承継の準備を進めていきましょう。

 

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