事業承継の落とし穴に注意!

経営者が高齢になると、親族や社内の役員・従業員などに事業を引き継げば廃業を回避できます。

しかし、後継者問題や資金不足などによって事業承継がうまくいかず、悩んでいる中小企業経営者も少なくはありません。

しかし、廃業にはかなりのコストがかかることもあり、今まで築き上げてきた事業やノウハウなどを後世に残したいと考える経営者は多いでしょう。

そこで今回は、事業承継がうまくいかない理由と事業承継において発生するトラブルや課題などの解決方法についてご紹介します。

 

起業家に有益な情報を徹底してお届けする「創業手帳」から、日本初の事業承継に特化したガイドブック「事業承継手帳(無料)」 が創刊されました!事業承継を検討する創業者の方、これから新社長になる方、事業承継に関わる士業の方などに有益なノウハウや最新情報をお届けしています。あわせてご活用ください。

 

事業承継がうまくいかない3つの理由

・うまくいかない理由① 経営者が事業承継を自分の退職イベントと認識している
・うまくいかない理由② 経営者が周囲を信用しない
・うまくいかない理由③ 経営者が生涯現役にこだわる

中小企業において事業承継がうまくいかない理由として、上記の3つが挙げられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

うまくいかない理由①経営者が事業承継を自分の退職イベントと認識している

事業承継を「自分の退職イベント」と捉えている経営者は少なくありません。

近年、中小企業における事業承継は後継者問題が深刻化していますが、運良く後継者を見つけることができた経営者は、無事に承継できるという安心感から、事業承継を自分の退職イベントと捉えてしまうこともあるようです。

しかし、引退する経営者が真剣に事業承継計画を立てなければ、後継者が見つかっていたとしてもスムーズに事業を引き継ぐことができなくなります。

引退する経営者は、事業承継を自分の退職イベントと捉えるのではなく、事業を維持したり発展させたりするために後継者に引き継ぐという意識を持って、綿密な計画を立てる必要があります。

うまくいかない理由②経営者が周囲を信用しない

経営者が他の人に事業を任せられなかったり、重要な取引先に関しては引退後も自分が担当したりするなど、周囲を信用しない経営者は事業承継がうまくいきません。

近年は親族の中で後継者が見つけられないため、役員や従業員に事業を引き継ぐ親族外承継や、他社に事業を買収してもらう(M&A)形で承継を行うのが一般的になりましたが、経営者が周囲の人を信用せず退任後も事業に関わっていると、事業承継がうまくいかなくなります。

うまくいかない理由③経営者が生涯現役にこだわる

経営者が生涯現役にこだわっている場合も、事業承継がうまくいきません。

次の世代に事業をスムーズに引き継ぐためには、生涯現役という考え方を改めなければ事業承継の障害になりかねません。

事業承継を行うと決めたら、後継者にすべてを任せる気持ちで引き継ぎを行わなければ、事業承継はうまくいかないでしょう。

 

事業承継がうまくいかない行動とは?

・お金について隠している
・ミスや失敗を恐れすぎる
・承継後も前経営者が積極的に関わる
・1人の判断で事業承継を行う

上記の4つは、事業承継がうまくいかない行動の代表例です。それぞれについて詳しく解説します。

お金について隠している

「後継者や周囲の人に迷惑かけたくない」「自分が経営者だった時の失態を知られたくない」という気持ちから、お金について隠してしまう経営者も少なくないようです。

後継者に事業を承継する際は信頼関係を構築する必要がありますが、お金についての隠し事はその障壁になり得ます。

経営者が負債などをすべて背負おうとすると、かえって後継者や関係者に迷惑がかかってしまうおそれがあります。

経営が負債を抱えている場合は、なるべく早い段階で会計士や税理士などに相談して、スムーズに事業を承継できるようにしておきましょう。

ミスや失敗を恐れすぎる

ミスや失敗を恐れて守りに入ってしまうと、事業を円滑に引き継ぐことができなくなります。

後継者を教育することも重要ですが、経営者としてミスを経験させることも大切です。

引き継ぎの段階で様々なことを任せて、後継者が失敗した時はその都度現経営者がサポートするようにしましょう。

承継後も前経営者が積極的に関わる

事業承継が完了した後も前経営者が事業に積極的に関わると、承継後の会社経営がうまくいかないことが多いようです。

承継後も前経営者すべての決定権を握ろうとすると、役員や従業員だけでなく取引先も混乱しかねません。

承継後に前経営者が積極的に経営に関わると後継者が成長する機会を奪うことになるので、承継後は「何かあれば相談に乗る」といったスタンスでいるようにしましょう。

1人の判断で事業承継を行う

経営者が誰にも相談せず独断で事業承継を行おうとすると、承継はうまくいきません。

経営者になる人材は基本的に能力が高く行動力があるため、特に中小企業の場合はワンマン経営になりがちです。

事業承継においても1人で判断してしまうことがあり、結果的に引き継ぎがうまくいかないという問題に悩むことになります。

事業承継では様々な課題やトラブルが生じるので、専門家や周囲の人たちに相談しながら事業承継計画を進めるようにしましょう。

 

事業承継後の経営を成功させるポイント

・従業員を信用して経営を行う
・経営理念を変更して軸をブラさない

「廃業せず、次の世代に事業やノウハウを引き継ぎたい」と考えている経営者は、上記の2点に気をつけましょう。

事業承継を成功させるためのポイントについて、詳しく解説します。

従業員を信用して経営を行う

事業承継がうまくいかないと悩んでいる場合は、承継をきっかけに従業員をもっと信用して経営を行うようにしましょう。

経営者が変わるとなると、事業規模の大小に関わらず従業員にとっては大きな変化になるので、早い段階で従業員に知らせる必要があります。

従業員を信じて会社を経営すると社内のコミュニケーションが円滑になるので、事業承継だけでなく日頃の業務もスムーズに進むでしょう。

経営理念を変更して軸をブラさない

現経営者と後継者の経営理念や方針が異なることで経営にブレが生じると、事業承継がうまくいきません。

事業承継の際に経営方針が定まらないと、従業員が混乱するだけでなく取引先にも迷惑がかかるおそれがあります。

事業を引き継いだら、新しい経営者の理念や方針を明確にして関係者に報告するようにしましょう。

 

まとめ

事業承継がうまくいかず悩んでいる経営者は多く、問題が解決しないと廃業に追い込まれることもあります。

中小企業において事業承継を成功させるためには、経営者が高齢になる前に後継者を決めておき、事業承継計画を立てて実行する必要があります。

自社に合う後継者を見つけて事業承継を成功させるためには、現経営者は1人ですべてを抱え込まず、事業承継に詳しい専門家や周囲の人に相談しながら計画を立てて進めるようにしましょう。

 

起業家に有益な情報を徹底してお届けする「創業手帳」から、日本初の事業承継に特化したガイドブック「事業承継手帳(無料)」 が創刊されました!事業承継を検討する創業者の方、これから新社長になる方、事業承継に関わる士業の方などに有益なノウハウや最新情報をお届けしています。あわせてご活用ください。