事業承継対策として行われることも多い自社株買い

事業承継は、節税対策や株式の分散を防ぐ様々な対策が必要ですが、多くの経営者に利用されている方法が「自社株買い」です。

自社株買いにはどのようなメリット・デメリットがあるのか、注意点を含めて解説していきます。

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自社株買いとは?


自社株買いとは、株主が自社で発行している株式を買い戻していく方法を指します。

平成13年の商法改正により自社株買いの規制が緩和され、取得する株式の数などの制限は存在しますが、自社株買いが行いやすい状態になりました。

敵対的買収の阻止や少数株主の整理などに活用されることが多い方法ですが、事業承継の税金対策としての利用も増えています

自社株買いを行う3つのメリット

  • 贈与・相続税対策が可能
  • 自社株の外部流出・分散が防げる
  • 複雑な株主関係の解消

自社株買いは上記の3つがメリットとして挙げられます。

それぞれのメリットについて解説をしていきますので、自社株買いを検討している人は参考にしてください。

贈与・相続税対策が可能

事業承継を行う上で警戒しないといけないのが、贈与税や相続税といった「税金の支払い」です。

経営者が所有する資産や会社の株価によっても左右されますが、相続税や贈与税は多額な金額になりやすく、対策を全く行っていない状態であれば事業承継後に莫大な税金の支払いが必要になります。

自社株買いは現金を使って行うため、贈与税や相続税などの節税対策に効果抜群です。

現金は100%の評価になるため、経営者が多く所有している場合は、なるべく使い込むか生前贈与を行って渡しておくのが好ましいです。

自社株の外部流出・分散が防げる

節税対策としても効果抜群な自社株買いですが、自社株の外部流出・分散が防げる点でもおすすめです。

株式が分散をしてしまうと経営権も分散してしまうので、事業承継を行った後に、後継者が分散してしまった株式を買い戻すのはかなり大変です。

また、株式の分散に関してはトラブルのもとにもなりかねないため、できるだけ防いだ方がよいでしょう。

複雑な株主関係の解消

経営権が分散をしてしまうと、株主関係なども複雑化します。

複雑な状態が続いてしまうと、社内での混乱を招きやすい上に、経営も安定しにくいです。

経営の安定化を図るためにも、自社株買いを行って集中化を行うのがおすすめです。

自社株買いを事業承継対策として行うことのデメリット

  • 制限で利用できない場合がある
  • 財務基盤が弱くなる

自社株買いはメリットがある反面・デメリットも存在します。

制限で利用できない場合がある

自社株買いは、会社の分配可能額を超えてはならないという財源規制があるので、それを超える範囲は利用できません。

自社株買いを計画するときは、法律上認められる額を前提に、話を進める必要があります。

そのため、税理士などの専門家に相談をしながら進めるようにしましょう。

財務基盤が弱くなる

自社株買いの大きなデメリットとして、財務基盤が弱くなるという点も挙げられます。

自社株買いをする際には、経営者の個人資産だけでなく、会社の資金でも購入可能です。

しかし、会社の資金を使い過ぎてしまうと、財務基盤が弱くなり経営トラブルが起きた際に対処ができず、経営不振に陥ってしまうケースも多いです。

財務基盤が弱くなるということは、会社としての経営基盤が弱くなることにもつながります。

自社株買いを行う際の注意点

自社株買いを行うと会社の資本が減少し、負債の比率が高くなり会社としての価値が低下する点に注意しましょう。

相続税・贈与税などの税金対策などでは効果的ではあるものの、M&Aを行う場合は買い手がつきにくくなります。

M&Aの買い手も市場価値が高い会社を購入するケースが多いため、自社株買いはM&Aを行う際には、不利に働く場合があることも理解しておきましょう。

自社株買い以外の事業承継時に役立つ対策

  • 役員報酬の引き上げ
  • 退職金の支給
  • 生命保険の活用
  • 不動産の活用

事業承継では自社株買い以外に活用できる、おすすめの対策がたくさん存在します。

役員報酬の引き上げ

役員報酬の引き上げは、自社株買いと同様に事業承継時の税金対策として、活用されることが多いです。

役員報酬の引き上げを行うと、株式評価額の引き下げができ、税金の評価額が下がります。

さらに、役員報酬を引き上げることによって、役員のエンゲージメントを高めることが可能になるので、多くの人におすすめです。

退職金の支給

役員報酬の引き上げとと同様の効果が得られやすいのが、退職金の支給です。

役員に対して退職金の支給を行うことにより、会社の利益と純資産が圧縮され会社の評価額が下がります。

評価額が下がったタイミングで生前贈与を行うと、負担の少ない引継ぎができるので、事業承継対策として贈与を考えている企業におすすめの対策です。

生命保険の活用

生命保険でも個人と法人向けの生命保険がありますが、どちらも経営者の資産と会社の純利益を下げることができるため、株式の評価額も下げます。

ただし、生命保険の場合は、解約返戻率などを確認した上で契約を行うのが好ましいです。

不動産の活用

不動産は取得する際に現金を減らせるだけでなく、自社株の評価額の引き下げができます。

不動産の資産計算は、路線価や固定資産税評価額から求められるため、時価よりも低い額で不動産価格を計上可能です。

自社株の評価額を下げて税金対策を行いたい場合は、不動産の活用もおすすめします。

自社株買い・事業承継に詳しいおすすめ相談先

  • 小松悟税理士事務所
  • アタックス税理士事務所
  • 中村太郎税理士事務所
  • M&A総合研究所

事業承継のための自社株買いを行う場合は、事業承継を専門としている税理士事務所や仲介会社に相談するのが好ましいです。

上記の4箇所は、特に詳しいことでも知られていますので、事業承継・自社株買いを考えている人は参考にしてください。

小松悟税理士事務所

小松悟税理士事務所は、東京都練馬区に事務所を構えていて、事業承継だけでなく相続税対策や確定申告・相続税申告など、幅広い対応を行っています。

経営権・財産権の承継や、自社株はどのように引き継ぐかを、相続税も踏まえて丁寧にサポート・提案してくれます。

相続税や贈与税などの税金対策は10万円+税から対応してくれますので、事業承継等幅広い支援をお願いしたいと考えている経営者におすすめです。

アタックス税理士事務所


アタックス税理士事務所は東京・大阪・名古屋・静岡・仙台などに拠点を構えています。

経営コンサルティングも行っていますが、事業承継に関する相談も受け付けており、自社株やM&A・後継者育成対策まで幅広く対応しています。

具体的には、事業承継でも財産圧縮や納税資金・遺産分割や株式評価額引き下げといった対策への対応を行っているため、事業承継に強いです。

オンライン面談も可能なので、事務所に足を運べない人でも事業承継について相談しやすいでしょう。

中村太郎税理士事務所

中村太郎税理士事務所は、東京都新宿にある税理士事務所で、事業承継だけでなく起業支援も行っていることで人気があります。

相続税申告や補助金・助成金の活用についても詳しく、税金対策を中心に事業承継を進めたいと考えている人におすすめです。

経済産業省の経営革新等支援機関にも認定されている税理士事務所で、多くのメディアにも掲載されています。

M&A総合研究所

M&A総合研究所は事業承継・M&A仲介会社として知られており、多くの企業の後継者・M&A先探しを支援しています。

仲介会社としても優秀ですが、M&A総合研究所の凄いところは何と言っても圧倒的な情報量でしょう。

M&A総合研究所は、事業承継・M&Aの仲介だけでなく、Webメディアでも情報を数多く配信しています。

初心者でもわかりやすい上に、専門家に相談する時と同等レベルの知識を学ぶことができるため、情報収集目的にもおすすめです。

まとめ

自社株買いはメリット・デメリット、どちらも把握した上で行うのが好ましいです。

できれば専門家と相談しながら、事業承継で自社株買いを行うのがよいかを検討しましょう。

税金対策は事業承継を行う上で欠かせないため、一つの手段として参考にしてください。

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(編集:創業手帳編集部)