各都道府県にある事業承継ネットワークを活用しよう!
今後10年以内に数多くの中小企業が事業承継の時機を迎えると言われていますが、「どのような準備をすれば良いかわからない」という経営者の方も多いのではないでしょうか。
事業承継に関する知識を身につけたい場合は「事業承継ネットワーク」を利用するのがおすすめです。
今回は、事業承継ネットワークのサービス内容や利用することで得られるメリットなどを解説していきます。
起業家に有益な情報を徹底してお届けする「創業手帳」から、日本初の事業承継に特化したガイドブック「事業承継手帳(無料)」 が創刊されました!事業承継を検討する創業者の方、これから新社長になる方、事業承継に関わる士業の方などに有益なノウハウや最新情報をお届けしています。あわせてご活用ください。
目次
事業承継ネットワークとは
事業承継ネットワークとは、地域の様々な組織が連携して中小企業の事業承継を支援する取り組みのことです。
中小企業庁から委託された組織が運営を行っており、金融機関や公的機関からの支援も受けられるため、円滑に事業承継を進めることができます。
事業承継ネットワークが生まれた背景
事業承継ネットワークが生まれた背景には、日本が抱える様々な問題があります。
日本では少子高齢化が進んでいますが、2025年には800万人の人口を占める「団塊の世代」が75歳以上になり、超高齢化社会を迎えると言われています。
2025年までに中小企業や小規模事業者の経営者約245万人が、平均引退年齢の70歳に突入すると見込まれており、約1,270万人以上の従業員が勤める企業で後継者が未定の状態となっています。
後継者がいなければ廃業・解散する企業が増えるため、2025年までに累計約650万人の雇用と、約22兆円の国内総生産が失われる恐れが指摘されています。
日本の労働生産性や雇用を守るために、後継者探しの支援を行うための取り組みが事業承継ネットワークです。
事業承継ネットワークの構成メンバーと役割
・中小機構地域本部
・事業引継ぎ支援センター
・経済産業局・財務局
・信用保証協会
・金融機関・商工会・商工会議所
・都道府県・市区町村等
事業承継ネットワークでは、上記の機関・団体が連携して事業承継の支援を行っています。
それぞれの役割を下記の表に記載しましたので参考にしてください。
支援メニュー | 構成メンバー | 役割 |
---|---|---|
計画の立案 | ・都道府県 ・市区町村 |
中小企業の事業承継が円滑に行えるようになるための施策立案 |
事業承継診断 | ・金融機関 ・商工会 ・商工会議所 ・中央会など |
事業承継・M&Aに関する診断などを実施 |
その他支援策 | ・中小機構地域本部 ・事業引継ぎ支援センター ・経済産業局や財務局 ・信用保証協会など |
・支援機関への研修 ・M&Aのフォロー ・施策情報の提供 ・金融支援など |
事業承継ネットワークの事業内容
・各都道府県の事業承継支援のための整備
・事業承継診断の実施
・専門家のリスト化や情報発信
事業承継ネットワークの事業内容は、上記の3つです。
ここからは、それぞれのサービス内容について解説しますので参考にしてください。
各都道府県の事業承継支援のための整備
事業承継に関する悩みを抱えている企業は全国に存在しており、各都道府県が中小企業・小規模事業者が積極的に事業承継を行えるように、ポータルサイトや成功事例集を作成しています。
都道府県ごとに支援内容には違いがあり、地域の事情に合わせた情報発信などが行われています。
事業承継の知識習得を目的としたセミナーの開催情報や、事業承継時に役立つ補助金・税制についての情報提供も行っているため、経営者にとって有益な情報を見つけることが可能です。
事業承継診断の実施
ネットワークに参加する金融機関や商工会議所では、事業承継診断が実施されています。
診断にはPDCAサイクルが用いられており、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」を繰り返し行うことで経営者のニーズを掘り起こします。
事業承継時に生じやすい課題などを発見できるため、あらかじめ診断を受けることで事業承継を円滑に進めるのに役立つでしょう。
専門家のリスト化や情報発信
事業承継ネットワークでは、事業承継に関わる専門家のリスト化や情報発信なども行っています。
事業承継には様々な法令や制度が関係するため、承継を無事に成功させるためには専門家の知識やノウハウが不可欠です。
事業承継ネットワークでは、経営者が専門家の知見を頼れるように連携体制を構築しています。
事業承継ネットワークを利用する3つのメリット
・後継者問題が解決できる
・事業承継に必要なノウハウを学べる
・地元経済の維持・発展に貢献できる
事業承継ネットワークを利用することで得られるメリットは、上記の3つです。
ここからは、それぞれのメリットについて解説をしていきます。
後継者問題が解決できる
事業承継ネットワークを利用することで、後継者問題を解決することができます。
主な事業承継の方法として、経営者の家族が会社を引き継ぐ「親族内承継」、従業員の社内昇格や外部から経営者を招き入れることによって会社を引き継ぐ「親族外承継」、社外に事業を譲渡する「M&A」の3つがあります。
事業承継ネットワークでは、各企業の準備状況や承継方法に応じて課題の洗い出しを行い、解決方法を見つけるのをサポートしてくれます。
事業承継に必要なノウハウを学べる
事業承継ネットワークを利用することによって、事業承継に必要なノウハウを学べます。
事業承継ネットワークには数多くの事業承継事例やナレッジが蓄積されており、相談を行うことで自社の課題発見や事業継続に関する情報を提供してもらうことができます。
過去の事例から学べる知識もあるため、事業承継を成功させるために積極的に情報収集を行いましょう。
地元経済の維持・発展に貢献できる
事業承継ネットワークを利用することで、事業承継を計画している地元企業の参考事例になることができます。
自社の事例が地元経済の維持や発展を促す一例になるため、事業承継の取り組みを地域貢献につなげることも可能です。
事業承継ネットワークに相談する前に確認すべきポイント
・現状の明確化
・将来的なビジョンや方向性を決めておく
・ある程度予習をしておく
事業承継ネットワークに相談する前に確認すべきポイントは、上記の3つです。
以降では、それぞれのポイントについて解説していきますので、事業承継ネットワークの利用を検討している事業者はチェックしてみてください。
現状の明確化
事業承継ネットワークに相談する前に、自社の現状を明確に把握しておきましょう。
会社が抱える課題や現状を明確化することで、何が事業承継を行う際の障害になるのか専門家が見当をつけやすくなります。
直面する課題をひとつひとつ解決することが事業承継の成功につながるため、自社の現状や課題点を整理しておきましょう。
将来的なビジョンや方向性を決めておく
事業承継ネットワークを利用する前に、将来的なビジョンや会社の方向性を決めておくようにしましょう。
一般的な事業承継の方法には、親族内承継・親族外承継・M&Aの3つがあり、どの方法を取るかによって準備や工程が異なるため、方針をはっきりしておくことが大切です。
ある程度予習をしておく
事業承継に関する知識や準備不足が原因で、トラブルに発展してしまう企業も少なくありません。
後継者や事業譲渡先を見つけるマッチングサービスを利用するとスピード感のある事業承継が可能ですが、準備や知識をおろそかにすると想定外のトラブルに直面することがあります。
事業承継に失敗しないためにも、法制度などの基礎的な知識について予習しておくようにしましょう。
事業承継ネットワークに力を入れている地域
【事業承継に関する取り組みに力を入れている機関・団体例】
組織名 | 住所 | 公式サイトURL |
---|---|---|
神奈川県事業承継・引き継ぎ支援センター | 神奈川県横浜市中区尾上町5-80 神奈川中小企業センタービル4階~6階 | https://kanagawa-shoukei.jp/ |
高知県事業承継ネットワーク事務局 | 高知県高知市本町4丁目1-32 こうち勤労センター4階 | http://www.cciweb.or.jp/kochi/syoukei/ |
兵庫県事業承継ネットワーク事務局 | 神戸市中央区東川崎町1丁目8番4号 神戸市産業振興センター 2階 | https://web.hyogo-iic.ne.jp/jigyosyokei/ |
埼玉県事業承継・引継ぎ支援センター | 埼玉県さいたま市浦和区高砂3-17-15 さいたま商工会議所会館4階 | https://www.3192shoukei.jp/ |
岡山県産業振興財団 経営支援部 中小企業支援課 | 岡山県岡山市北区芳賀5301 | https://www.optic.or.jp/push-succession/network.html#gsc.tab=0 |
群馬県事業承継ネットワーク事務局 | 群馬県前橋市亀里町884-1 群馬産業技術センター内 | https://www.g-inf.or.jp/syoukei/index.html |
事業承継ネットワークに力を入れている地域は上記の通りです。
事業承継診断や個別支援事業・経営者保証業務などを行っているので、自分の会社がある地域の事業承継ネットワーク公式サイトをチェックしてみてください。
まとめ
事業承継ネットワークを利用することで、自社の事業承継がスムーズに進むように様々な支援を受けることができます。
事業承継ネットワークには地域の公的機関などが参加しており、豊富なノウハウを活かしたサポートを得られるため、円満な事業承継を実現できます。
事業承継を計画している経営者の方は、事業承継ネットワークの利用を検討してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)