引継ぎ補助金で事業承継

中小企業において経営者の高齢化が深刻化しており、事業継承を行いたいと考えている経営者も多いようです。

ただ、事業継承を行うためには十分な資金が必要ですが、現在の経営状況だと全てをカバーするのが難しいという会社も存在します。

そういった場合には、事業継承をスムーズに行うためにある「経営資源引継ぎ補助金」を活用することをおすすめします。

この補助金は、経営資源引継ぎを行う売り手と買い手の双方へサポートし、引継ぎすることを促進させるための取り組みです。

そこで今回は、経済産業省による「引き継ぎ補助金」について解説します。

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引継ぎ補助金とは


2020年から猛威を奮っている新型コロナウイルス感染症によって、休廃業企業の数が増加しており、経済産業省が引き継ぎ補助金を配給して事業承継のサポートを行っています。

引き継ぎ補助金は、地域の人材や技術など経営資源がなくなってしまわないよう、経営資源を集約化したり、事業引き継ぎをサポートしたりするための資金です。

具体的には、事業承継によって発生する業態転換・廃業コスト・多⾓化、そして会社の事業を引き継ぐために相談する専⾨家に支払うコストなどもサポートします。

会社の後継者として十分な能力や素質、経営するために必要になる後継者教育を明確にする承継トライアル事業、そして事業引継ぎ⽀援センターが⽀援する体制整備などを含めて、2020年度に制定された第3次補正予算案においては、56億6000万円を計上しています。

ただし、2021年度当初予算案には承継トライアル事業などが含まれてなくて、費用は16億2000万円となっています。

引継ぎ補助金のメリットとデメリット


経営資源引継ぎ補助金を活用するメリットは多いのですが、一方でデメリットもあります。

これから、経営資源引継ぎ補助金を活用することで生まれるメリットとデメリットをそれぞれ説明していきます。

メリット

新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの企業が経営にダメージを受けてしまい、事業承継を検討しているという経営者も存在します。

しかし、経営困難に陥っている状態で事業承継を行う際には、専門家に相談するための費用や手続きで発生するコストがかかります。

事業承継で発生するコストの一部を補ってくれる経営資源引継ぎ補助金を活用することで、経営困難で悩んでいる中小企業でも比較的スムーズに事業承継を実行することが可能です。

また、M&Aという方法は専門家へ相談する必要がありますが、それにもコストがかかります。

経営資源引継ぎ補助金を活用すると事業承継に関する専門家に相談できるため、M&Aでの事業継承も可能になるでしょう。

デメリット

経営資源引継ぎ補助金は、あくまでも補助金ということなので、一度申請したらスケジュールに縛られてしまうという点がデメリットです。

また、経営資源引継ぎ補助金を申請する手続きには、時間と手間がかかります。

経営資源引継ぎ補助金交付手続きは、申請してから審査が行われて交付の決定が下された後に補助事業を実行することになります。

その後に、事業報告を定期的に行い、認定されれば経営資源引き継ぎ補助金を支給されますので、今すぐ補助金が必要だという経営者にとってはデメリットになるでしょう。

第3次補正予算案の補助率と補助上限額

  • M&A型
  • 経営者交代型
  • 創業⽀援型

補助率と補助を受けることが可能な上限額は、第3次補正予算案にある上記の3つの種類ごとに異なってきます。

これから、それぞれの種類の補助上限額について具体的に説明して行きます。

M&A型

株式譲渡や事業譲渡などで経営資源を引き継いだ後継者向けのサポートをM&A型と呼んでおり、補助率は3分の2となっています。

なお、補助してもらえる上限額は800万円です。

経営者交代型

親族内承継などによって経営資源を引き継いだ後継者へのサポートを経営者交代型と呼んでおり、補助率はM&A型と同じ3分の2ですが、補助の上限額は400万円となっています。

創業⽀援型

創業支援型は、他の会社が保持している経営資源を引き継いだ後に会社を創業した人へのサポートで、補助率は3分の2、補助の上限額が400万円と経営者交代型と同じですが、こちらは今までの補助金にはなかった種類です。

補助率と補助上限額


補助率と補助上限額は、事業承継補助金Ⅰ型と事業承継補助金Ⅱ型で異なります

まず、事業承継補助金Ⅰ型(後継者承継支援型経営者)は、経営者が交代する際に行う事業承継をサポートする類型で、新事業を取り組むために必要な経費を補助するために存在します。

補助金は上限額があり、小規模事業者の場合は上限額200万円で補助率は2/3までとなっており、小規模事業者以外だと上限額が150万円で補助率1/2までとなります。

また、会社自体が廃止したり事業の集約が伴ったりする場合は、最大300万円の廃業コストが補助金として支給されます。

事業承継補助金Ⅱ型(事業再編/事業統合支援型)は、会社の分割や合併、そして株式譲渡などのM&Aによる事業承継をサポートしていく類型です。

Ⅱ型は、審査結果で上位とその他に分けられますが、上位とその他では補助金の上限額が異なるので注意してください。

上位については、上限額が600万円で補助率2/3、その他は上限額が450万円で補助率1/2となり、Ⅰ型と同様に廃業による経費がある場合には、上位は最大600万円、それ以外は最大450万円の補助金がプラスされます。

補助金/優遇税制パンフレット


新型コロナウイルスの感染が拡大していることが影響して、休廃業を余儀なくされる企業の数が増加しており、事業承継や引継ぎが盛んに行われることが予想されています。

令和3年(西暦2021年)に事業承継引継ぎ補助金制度、第3次補正予算において、56.6億円の補助金が制定され、企業が長い期間を経て培ってきた技術や従業員などの経営資源が散逸されることを回避して、生産性を向上させることが実現できるようになりました。

事業承継補助金の交付までのフロー

  • 事業計画書の作成と電子申請
  • 審査と採択決定
  • 交付申請
  • 審査と交付決定
  • 完了報告の提出
  • 検査と交付額を決定
  • 補助金の請求
  • 補助金の交付

事業承継補助金を受けるための書類を全て用意したら、次は交付申請手続きに移行します。

事業承継補助金事務局への交付申請の提出は、電子申請・郵送いずれでもできます。

交付申請は、事業承継における登記簿を変更が終わってない状態でも可能です。

補助金は、事業承継補助金の交付申請が採用された直後にもらえるということではありません。

補助金をもらうためには、会社の経営を向上させるためのノウハウや技術を保有している人材を確保したうえで、新商品の開発や新事業をスタートさせ、その成果を事務局に報告する必要があるので注意してください。

まとめ

経営資源引継ぎ補助金は、中小企業者が事業の再編や統合を図るための費用を助成し、経営資源引継ぎのサポートを目的としています。

事業承継補助金を受け取るには、交付申請の要件を満たした書類を提出する必要があるため、事業承継についての専門的な知識がある税理士などに相談するのがおすすめです。

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(編集:創業手帳編集部)