事業承継にかかる費用が気になる経営者・後継者も多い?

事業承継は多くの経営者が悩みを抱える問題ですが、専門的な知識が必要になるため、専門家の協力がなければなかなか話が進みません。

多くの企業は顧問税理士や会計士などを雇っていますが、事業承継に関する知識がない人のほうが多いでしょう。

専門家に依頼をする場合は費用がかかる上に、事業承継に関する税金の支払いも多額になることがあります。

事業承継を行う際にどのような費用がいくらくらいかかるのか、またおすすめの対策などについて詳しく解説します。

 

起業家に有益な情報を徹底してお届けする「創業手帳」から、日本初の事業承継に特化したガイドブック「事業承継手帳(無料)」 が創刊されました!事業承継を検討する創業者の方、これから新社長になる方、事業承継に関わる士業の方などに有益なノウハウや最新情報をお届けしています。あわせてご活用ください。

 

事業承継にかかる費用はどのくらい?

事業承継にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。

結論から言えば、事業承継に関する費用は企業の状況・方針によって大きく変わるため、一概には言えません。

税金対策が行われているか、良心的な専門家に相談しているか、保有資産はどのくらいか、どのような事業承継の方法を取っているかで変わります。

そのため、数百万円で済むこともあれば、数千万円かかることもあります。

特に税金の支払いが大きいため、しっかりと節税対策を行っておくことをおすすめします。

 

事業承継を行う上で考えておく必要がある税金や報酬

・税金面
・専門家への報酬・相談料
・M&A仲介手数料

事業承継を行う際に考えておくべき費用として、上記の3つが挙げられます。

それぞれについて解説しますので、参考にしてください。

税金面

事業承継を行う際には多額な税金の支払いが生じるため、費用を抑えたいと考えている場合はしっかりと対策を行う必要があります。

相続税や贈与税などが知られていますが、他にも下記の税金が発生します。

・法人税
・消費税
・登録免許税・不動産取得税

税金に関しては税理士・公認会計士が詳しいため、正確な税金の金額が知りたい場合は算出してもらいましょう。

顧問税理士・会計士がいない場合は、事業承継に詳しい税理士や公認会計士を探して依頼するのがおすすめです。

税金の算出とともに、企業に合った事業承継の方針・対策などについてアドバイスをもらうと、事業承継がスムーズに進むでしょう。

専門家への報酬・相談料

税金の支払いとともに考える必要があるのが、専門家への報酬や相談料です。

事業承継は内容が難しいだけでなく、1,000社あれば1,000通りの方法があると言われています。

よって専門家の知識は必須で、専門家に相談した場合は費用が発生します。

専門家によって報酬・相談料は変わりますが、下記の相場を参考にしてください。

【親族内・親族外承継】

自社株の評価 10~30万円
相続税・贈与税のシミュレーション 10~30万円
納税猶予の贈与税申告書の作成や提出 10~30万円
特例承継計画の策定や認定申請 30~70万円

専門家の話を理解するためにも、経営者や後継者が知識を身につけるための参考書やセミナーなどの費用も見込んでおくと良いでしょう。

M&A仲介手数料

M&Aでマッチングサービスを利用した場合などは、仲介手数料が発生します。

マッチングサービスやM&A仲介会社だけでなく、税理士などの専門家に相談した場合も売却額に応じて手数料が発生します。

手数料の相場は下記のとおりです。

【M&A】

売却額 手数料の割合
5億円以下 5%
5億円~10億円 4%
10億円~50億円 3%
50億円~100億円 2%
100億円 1%

 

事業承継を行う上で知っておきたい4つの知識

ここからは、事業承継を視野に入れている場合に知っておきたい4つの知識について解説します。

事業承継には様々な税制・補助金などがあるため、事業承継を考えている人は必見です。

事業承継税制

事業承継税制とは、承継時に発生する相続税や贈与税の支払いを猶予するための制度のことです。

会社が大きくなるほど相続税や贈与税の支払いは大きくなりますが、一括で支払うのは難しいでしょう。

税金の支払ったがゆえに経営が厳しくなり、承継後に倒産してしまう企業も少なくありません。

税金の支払いが猶予されるだけでなく免除される可能性もあるため、条件に当てはまる企業は利用することをおすすめします。

平成30年に事業承継税制が改正され、期間限定の特例が設けられましたので、早めに確認しておきましょう。

【事業承継税制の利用条件】
・先代経営者や後継者(条件あり)
・中小企業であること
・継続年数の条件
・次世代への承継

【先代経営者・後継者の条件】

先代経営者の条件 後継者の条件
・会社の代表取締役を経験済み

・贈与or相続の直前に会社の筆頭株主であること

・贈与時において代表取締役ではないこと

・贈与or相続によって会社の筆頭株主になること

・贈与を受ける時に会社の代表取締役になっていること

・贈与前に3年間継続してその会社の役員であること

事業承継をサポートする補助金

後継者の中には、事業承継後に新しい事業を始めようと考える人もいるでしょう。

国は、事業承継後に新しい事業を始めようと考えている人に向けて経費の一部を補填する補助金を出しています。

補助金の受給にも条件があり、事業承継とM&Aでは金額が変わります。

下記は、補助金の補助率や補助金の上限です。

【後継者承認支援型】

事業転換 補助率 補助上限額
個人事業主を含む小規模事業者 なし 2/3 200万円
上記以外の人 なし 1/2 150万円
個人事業主を含む小規模事業者 あり 2/3 500万円
上記以外の人 あり 1/2 375万円

参照:平成29年度補正事業承継補助金

【事業再編・事業統合支援型】

事業転換 補助率 補助上限額 対象となる取り組み
採択上位者 なし 2/3 600万円 ・合併

・会社分割

・事業譲渡

・株式交換

・株式移転

・M&Aの取り組みなど

上記以外の人 なし 1/2 450万円
採択上位者 あり 2/3 1,200万円
上記以外の人 あり 1/2 900万円

参照:平成29年度補正事業承継補助金

事業承継・集約・活性化支援資金

地域経済の産業活動の維持・発展のために、M&Aなどを行う企業に対しての資金調達の円滑化を支援する制度です。

最大で7億2,000万円の融資を受けられます。

事業再生支援資金

事業再生支援資金は、事業承継後経営不振に陥った企業に対して融資を行う制度です。

民事再生法の規定による再生手続開始の申立てなどを行った人が対象になりますが、事業再建を行うために必要な設備資金および長期運転資金などを融資してくれるため、事業を再起しやすいと言えます。

直接貸付7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)が上限で、返済期間は運転資金が5年以内、設備資金は10年以内です。

 

事業承継を行う際に費用面以外で気を付けるべきポイント

・後継者の経営経験・知識が不十分
・しっかりとした準備ができていない
・取引先や従業員との関係構築が不十分
・経営資金が用意できない
・事業承継に強い専門家を選べていない

様々な費用が発生する事業承継ですが、費用面以外にも注意すべきことがあります。

それぞれについて解説しますので、参考にしてください。

後継者の経営経験・知識が不十分

事業承継に失敗する企業もありますが、その原因として後継者の経験や知識不足が挙げられます。

従業員が後継者に選ばれた場合、仕事の内容はわかっているものの、経営の経験はないケースがほとんどでしょう。

親族に承継する場合も同様で、その場合は仕事の経験自体が浅いこともあります。

事業を承継する人が十分な知識を持っていなければ経営不振に陥りやすいため、事業承継に関する知識だけでなく経営の経験を積む必要があります。

しっかりとした準備ができていない

多くの企業が失敗する原因として、準備不足も挙げられます。

税金対策などを行っていたとしても、経営者が急に亡くなってしまうことも考えられます。

このようなことを想定して準備をしておかなければ、思わぬ税金の支払いが発生するかもしれません。

時間がかかりますが、万が一に備えてしっかり準備しておくようにしましょう。

取引先や従業員との関係構築が不十分

経営経験とともに重要なのが、取引先や従業員との関係構築です。

取引先や従業員との関係が構築できていないと、経営が不安定になります。

特に従業員との関係が悪化すると離職率が高くなるため、経営が傾く可能性が高まります

人間関係の構築には時間がかかるため、良い関係を構築できるように早めに行動しましょう。

経営資金が用意できない

事業承継では、経営資金の用意も重要です。

承継前までは順調だった会社でも、承継後に経営方針が変わることで従業員のモチベーションが低下し、経営不振に陥る企業もあります。

また、税金を支払ったために運転資金がショートし、倒産してしまう企業も少なくありません。

経営資金もしっかり準備するようにしましょう。

事業承継に強い専門家を選べていない

事業承継では専門家選びも大切ですが、事業承継の知識を持つ専門家は少ないと言わざるを得ません。

専門知識を持つ専門家に依頼する場合は報酬が高額になることがありますが、成功率を高めることができるため、事業承継に失敗しないためにも専門家選びは慎重に行うことをおすすめします。

 

費用面で負担がかからない!おすすめ事業承継・M&Aマッチングサービス

・事業承継マッチング支援
・M&A Cloud(M&Aクラウド)
・BATONZ(バトンズ)

上記の3つは、無料で利用できる事業承継・M&Aマッチングサービスです。

それぞれの特徴について解説をしますので、参考にしてください。

登録者数 特徴
事業承継マッチング支援 非公開 ・日本政策金融公庫が提供しているサービス

・専門家による相談や支援も可能

M&A Cloud(M&Aクラウド) 非公開 ・仲介者を挟まず直接買い手や投資家に交渉・相談可能
BATONZ(バトンズ) 100,000人以上

 

 

事業承継マッチング支援

事業承継マッチング支援は、日本政策金融公庫が提供しているマッチングサービスです。

無料で使用できる上に、日本政策金融公庫の専門担当者が後継者探しを支援してくれます。

登録には確定申告書・決算書の写し・企業のパンフレットなどの書類が必要ですが、登録すると手厚いサポートを受けられるため申し込んでみてはいかがでしょうか。

 

M&A Cloud(M&Aクラウド)

M&A Cloud(M&Aクラウド)も人気のM&Aマッチングサービスで、多くの企業が利用しています。

M&A Cloud(M&Aクラウド)は他のマッチングサービスとは異なり、仲介会社を通さない連絡が可能です。

仲介会社を通さない分、スムーズなやり取りができることがメリットです。

 

BATONZ(バトンズ)

BATONZ(バトンズ)は、登録者数100,000人を超える人気のマッチングサービスです。

累計マッチング数は約70,000件と、多くの企業がマッチングに成功していることがわかります。

成約サポーターが無料で支援してくれるため、初めてマッチングサービスを利用する人でも安心です。

業種・業界や地域別の情報収集も可能で、多くの企業が登録しています。

 

まとめ

事業承継には様々な費用がかかりますが、費用面ばかり気にしてしまうと、従業員や取引先との関係構築や後継者の育成が間に合わなくなるおそれがあります。

費用面についてしっかり考えておくことは大切ですが、他にも様々なことを考慮しつつ事業承継を進めてください。

 

起業家に有益な情報を徹底してお届けする「創業手帳」から、日本初の事業承継に特化したガイドブック「事業承継手帳(無料)」 が創刊されました!事業承継を検討する創業者の方、これから新社長になる方、事業承継に関わる士業の方などに有益なノウハウや最新情報をお届けしています。あわせてご活用ください。