多くの人が気になる!事業承継に関するデータはどうなっている?

現在、多くの中小企業が後継者不在問題に悩んでいます。

2025年には団塊世代が70歳になるため、多くの経営者が引退を検討していますが、後継者が不在なので解散や廃業に追い込まれる企業も少なくありません。

現在の事業承継の状況や事業承継が問題になっている理由、経営者の年齢から見た準備状況などについて解説します。

 

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事業承継とは?

事業承継とは、会社や事業の経営権を後継者に託すことです。

事業承継は親族に対して行われるイメージがありますが、従業員に承継する方法や投資家・企業に買収・合併してもらう方法もあります。

それぞれにメリットがありますが、後継者がいない場合は事業承継・M&Aマッチングサービスを利用して後継者を探すのがおすすめです。

 

事業承継が問題になっている理由は?

現在多くの企業が事業承継の問題を抱えていますが、最大の問題は後継者がいないことです。

日本政策金融公庫総合研究所が行ったインターネット調査「事業承継に対する意識ついて」の結果は以下のとおりです。

【後継者の決定状況 対象:経営者が60歳以上の4,104社】

決定している 12.4%
未定 21.8%
廃業予定 50.0%
時期がまだ早い 15.9%

※平成28年4月26日調査

廃業を予定している企業が半分を占めていることがわかります。

中小企業の半分が廃業してしまうと日本の労働生産性は著しく減少するため、現在国全体で事業承継問題に取り組んでいます。

 

経営者の年齢から見た事業承継の準備状況

多くの企業が事業承継について危機感を持っていますが、他の経営者と後継者問題や事業承継について情報を交換する機会はあまりないため、状況がわかりにくいでしょう。

下記は、経営者の年代別で見た事業承継の準備状況です。

~40代 50代 60代 70代 80代
準備済み 19.5% 33.3% 42.9% 49.5% 47.7%
これから準備する予定 7.3% 11.7% 29.9% 30.7% 32.3%
準備をしていない 36.6% 30.0% 19.7% 15.2% 15.4%
事業承継を考えていない 36.6% 25.0% 7.5% 4.6% 4.6%

※中小企業庁が委託して調査

事業承継が行われることが多い60~70代でも、準備ができているのは半分以下です。

後継者が決まっていない、あるいは株や事業用資産の整理が終わっていない企業が多いことがわかります。

 

経営者が事業承継で抱えている具体的な課題は?

経営者は、事業承継において何を課題だと思っているのでしょうか。

下記は、中小企業庁が帝国データバンクに依頼して調査を行った結果です。

【事業承継をする上での課題 対象:1,586】

相続税や贈与税の負担 46.2%
将来の経営不安 39.3%
後継者が決まっていない 36.6%
借入金や個人保証・経営者保証の引継ぎ 24.1%
株式以外の資産に係る相続税・贈与税の負担 13.5%
親族間の調整 12.0%
その他 8.6%
候補者が承諾してくれない 5.5%
相続時に自社株式が散逸してしまう恐れがある 2.9%
引退後の生活が不安 2.8%

※株式会社帝国データバンク調べ

資金面や経営・後継者が課題だと思っていることがわかります。

特に税金や借入金といった資金面に不安を覚える経営者が多いため、適切な対策を行う必要があります。

 

事業承継について誰に相談している?

多くの経営者が後継者や税金・借入金といった資金面、経営面で不安を抱えていますが、事業承継について誰に相談しているのでしょうか。

帝国データバンクが1,653人を対象に行った調査の結果は、以下のとおりです。

【相談先について 対象者:1,653人 複数回答あり】

税理士 52.6%
親族 28.9%
取引先金融機関 28.9%
親族以外の役員や従業員 23.5%
他社の経営者 21.6%
公認会計士 16.4%
その他 12.2%
経営コンサルタント 12.2%
弁護士 9.7%
商工会 2.2%

※参照元:2016年帝国データバンク調査

 

税理士に相談するケースが圧倒的に多く、親族や金融機関に相談する経営者も多いことがわかります。

公認会計士や弁護士、経営コンサルタントに相談する経営者もおり、専門知識を持つ人に相談して事業承継を進めているようです。

 

税制と補助金も要チェック!

多くの企業が事業承継について不安や悩みを抱えていますが、国は事業承継税制に関する特例を設けたり、新規事業に対して補助金を出したりしています。

それぞれについて詳しく解説しますので、参考にしてください。

事業承継税制の特例

事業承継に関する税制は平成21年からあり、相続税や贈与税といった税金の支払いを猶予・免除する制度です。

事業承継税制を利用するためには様々な条件を満たす必要があり、利用する人が少なかったため、平成30年に期間限定の特例を設けました。

特例の条件は、下記のとおりです。

・先代経営者や後継者の条件に該当している
・中小企業であること
・継続年数の条件
・次世代への承継

【先代経営者・後継者の条件】

先代経営者の条件 後継者の条件
・会社の代表取締役を経験済み

・贈与または相続の直前に会社の筆頭株主であること

・贈与時において代表取締役ではないこと

・贈与または相続によって会社の筆頭株主になること

・贈与を受ける時に会社の代表取締役になっていること

・贈与前に3年間継続してその会社の役員であること

会社や経営者の資産が多いと相続税や贈与税の負担が大きくなり、税金の支払いが経営を圧迫して承継後に倒産してしまう企業も少なくありません。

税金対策を行っても負担が大きい場合は、事業承継税制の利用を検討すると良いでしょう。

新規事業に対する補助金

国は事業承継を機に新規事業を始めようと考えている企業に対して、補助金を出しています。

申し込んだ企業はすべて補助金をもらえるわけではありませんが、選ばれた場合はまとまった金額が手に入ります。

事業計画書などを作成する必要がありますが、事業承継後に新しいビジネスにチャレンジしようと考えている人は、補助金も随時確認するようにしましょう。

【後継者承認支援型】

事業転換 補助率 補助上限額
個人事業主を含む小規模事業者 なし 2/3 200万円
上記以外の人 なし 1/2 150万円
個人事業主を含む小規模事業者 あり 2/3 500万円
上記以外の人 あり 1/2 375万円

参照:平成29年度補正事業承継補助金

【事業再編・事業統合支援型】

事業転換 補助率 補助上限額 対象となる取り組み
採択上位者 なし 2/3 600万円 ・合併

・会社分割

・事業譲渡

・株式交換

・株式移転

・M&Aの取り組みなど

上記以外の人 なし 1/2 450万円
採択上位者 あり 2/3 1,200万円
上記以外の人 あり 1/2 900万円

参照:平成29年度補正事業承継補助金

 

事業承継の相談先としておすすめする機関

・事業承継に強い税理士事務所
・事業承継に強い行政書士法人
・事業承継センター

最後は、事業承継の相談をしたい場合におすすめする機関について解説します。

それぞれの機関の特徴を解説しますので、参考にしてください。

事業承継に強い税理士事務所

調査結果にも表れていますが、事業承継に関する悩みは税理士事務所に相談するのがおすすめです。

ただし、すべての税理士が事業承継に詳しいわけではないため、資産税に強い専門家がいる税理士事務所に依頼をすることをおすすめします。

事業承継に対応した件数が多い税理士事務所に相談すると、過去に関わった企業の体験談を聞けるだけでなく、柔軟に対応してもらえます。

【おすすめの税理士事務所】
・税理士法人チェスター
・税理士法人つばめ
・近江清秀公認会計士税理士事務所

事業承継に強い行政書士法人

税理士事務所とともに相談先として人気があるのが、行政書士法人です。

行政書士の専門は申請書の作成などですが、近年は事業承継も取り扱う人が増えています。

行政書士法人も、できるだけ事業承継の対応経験が豊富なところを選ぶようにしましょう。

【おすすめの行政書士事務所】
・アイリス行政書士法人
・山内利昭税理士事務所
・あおい行政書士法務事務所

事業承継センター

事業承継センターは、事業承継に強い人物を育成している事業承継専門のコンサルタント集団です。

専門家の育成だけでなく、経営者に対するコンサルティングも行っており、大手企業のコンサルティング費用の1/3程度で対応してくれます。

事業承継を専門としているため、事業承継に関する知識・ノウハウをたくさん持っているのが特徴です。

 

まとめ

事業承継に関する様々な調査結果やデータを見ると、年々事業承継に関する悩みを抱える企業が増えていることがわかります。

事業承継には様々な課題がありますが、一人で悩みを抱え込まず、専門家や親族に相談しながら方向性を決めることをおすすめします。

事業承継には周到な準備が必須です。まずは会社や経営者の状況を正しく把握した上で、専門家と相談しながら進めるようにしましょう。

 

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