事業承継には様々な手続きが必要?
経営者として引退し、会社を後継者に引き継ぐことを事業承継と言います。事業承継をすれば、従業員を守ることができるとともに、取引先にも迷惑がかかりません。健康上の理由で経営者が引退をしても、会社事業は何も変わらずに継続できるようになります。
しかし、最近は事業承継がうまくいかずに廃業を選択する経営者が増えています。「親族へ事業承継をしたい」と思う経営者は少なくなり、社内や社外で後継者を探すことにも苦労しています。事業承継を成功させるためには、前々から準備を進めて計画を立てておく必要があります。
後継者を見つけて、いざ事業承継をしようと思った時に「何の手続きが必要なのか」を考えて準備を始めるわけにはいきません。事業承継を決めた時から、頼れる司法書士を見つけておくことも重要です。当記事では、事業承継の時に司法書士を活用するメリットや注意点について解説します。
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目次
司法書士とはどのような業務をしているのか
司法書士になるためには、法律に関する高度な知識が求められる国家資格である「司法書士試験」に合格しなければなりません。合格した後には、司法書士会に入会して研修や実務を学ぶ必要があります。
事業承継に必要な株式譲渡や不動の登記変更などは、司法書士に任せるのが一般的です。事業承継の手続きにおいて、欠かせない存在と言えます。
事業承継は社会的な問題になっており、司法書士のニーズは高まっています。司法書士は他社の事業承継を経験している人が多く、司法書士事務所の中には事業承継に特化している事務所もあります。
一般的な経営者は、税理士や弁護士との付き合いはあっても司法書士と頻繁にやり取りする機会は多くありません。そのため、知り合いから紹介をしてもらったりインターネットで検索をしたりして、信頼できる司法書士を見つけるところから始めることになります。
事業承継を司法書士に相談するメリットについて
事業承継について司法書士に相談するメリットには、以下のようなものがあります。
・法的な知識が豊富であること
・事業承継のアドバイスをくれること
・他の士業者とネットワークを持っていること
・将来のトラブルを回避できる
ここからは、メリットについて詳しく解説していきます。
法的な知識が豊富であること
まず司法書士に相談するメリットは、法的な知識が豊富であることです。事業承継に必要な法的な要素をすべて理解しようと思うと大変でしょう。法的な手続きを司法書士に相談することで、経営者は普段の仕事や後継者育成に時間を割けるようになります。
事業承継のアドバイスをくれること
過去に事業承継の経験が豊富な司法書士であれば、書類上の手続き以外に様々なサポートをしてくれます。事業承継を検討している経営者は、すべてのことが初めてです。
「資産をどのように譲渡すればいいのか」「相続についてトラブルが起こらないように意識すべきこと」など不安に感じていることを司法書士に気軽に相談できます。
他の士業者とネットワークを持っていること
司法書士のような士業者は、横のネットワークを広く持っています。税理士や弁護士など事業承継に必要となる士業者は今後も出てくるはずです。司法書士に相談することで、税理士や弁護士を紹介してもらえるメリットがあります。
普段から付き合いのある税理士や弁護士でも良いのですが、事業承継を得意としている専門家は大きな力になってくれるはずです。一から士業者を探すよりも、つながりで見つけていく方が信頼できますし、効率的で時間もかかりません。
将来のトラブルを回避できる
事業承継がうまくいかないと、後々親族間でのトラブルになりやすいです。司法書士に手続きを依頼しておくことで、将来のトラブルを回避することができます。
遺言書の作成から財産贈与の割合計算、株式割合の適切なバランスなど、経営者だけでは判断できない点についてアドバイスしてもらえます。
安心して相談できる司法書士を選ぶポイント
事業承継で信頼してお願いができる司法書士を選ぶポイントは、以下のようなものがあります。
・会計や税務に詳しい
・事業承継の経験が豊富である
・M&Aの実績がある
・コンサルティングができる
会計や税務に詳しい
会計や税務と言えば、公認会計士や税理士が専門分野ですが、ある程度は理解のある司法書士を選びましょう。
ただ書類の手続きだけをしている司法書士と、税務に精通している司法書士とでは、やり取りに雲泥の差があります。書類の手続きを相談していく中で、税務上のリスクなどをアドバイスしてくれるようになります。
事業承継の経験が豊富である
司法書士を選ぶ時には、事業承継の経験が豊富な司法書士を選ぶようにしましょう。司法書士であれば、誰でも事業承継に係る書類手続きができますが、事業承継の経験値が高いと何かと頼りになります。
経験豊富な司法書士であれば、他社でのトラブル事例が共有できます。法務上の書類の手続きだけでなく、相続関連の問題や後継者育成のポイントなどもアドバイスしてもらえると経営者として考えを整理しやすくなります。
M&Aの実績がある
事業承継の選択肢としてM&A(※1)を検討している場合は、M&Aを専門にした司法書士を選びます。M&Aでは、相手先企業の検討から条件の交渉、税務関連の手続きに契約書の作成から精査まで、やらなければならないことが多くなります。
M&Aに特化した司法書士や企業をパートナーとして選ぶことで、有利な条件で事業承継を完了させることができます。
※1 M&A:Mergers and Acquisitionsの略。企業の合併と買収を指す。
コンサルティングができる
事業承継のパターンをまだ決め切れていない場合や、廃業も検討している場合など、経営者がまだ方向性を示すことができていない段階では司法書士のコンサルティングを受ける選択肢もあります。
早い段階からコンサルティングを受けておけば、経営者が意思決定しやすく、自身とステークホルダーに一番メリットのある方法を選ぶことができます。
ニーズが増えていることも影響しており、事業承継のコンサルティングを専門にした司法書士が増えてきています。事業承継の意思決定後もコンサルタントに一任することで精神的な負担から解放されることもメリットです。
ただ注意しなければならないのは、コンサルティングを受ける分だけかかる費用です。料金体系を把握した上で、検討してみましょう。
司法書士に依頼した時の料金体系
司法書士に事業承継関連の手続きを依頼した時にはどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
司法書士によっても違いますし、コンサルティングの範囲によっても料金は変わりますが、平均的な価格として想定しておきましょう。
項目 | 料金相場 |
---|---|
定款の変更 | 3万円~5万円 |
役員の変更 | 2万円~3万円 |
相続登記 | 3万円~8万円 |
遺言書の作成 | 5万円~10万円 |
まとめ
事業承継では、司法書士に相談するとトラブルを回避し、スムーズに事業承継を進めることができます。
司法書士に相談するメリットをよく理解し、信頼できる司法書士への相談を検討してみてください。実績や経験も重要ですが、人間として信頼できる人を経営者の視点で選ぶことが大切です。
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(編集:創業手帳編集部)